第4回 新宿散歩


 以前書いたように、私は勤務地が新宿です。
 誰しもそうかと思いますが、自分の仕事場の周辺というのはかえってあまり歩き回ったりしないもの。
 けれど試しに散策してみると、意外に発見があったりもします。そんな身近な発見もこの企画のテーマだったりしまして。
 東京在住でない方にとっても、新宿などは気になる街でしょうし。そんなわけで、あえて今回は選んでみました。


 ……実は新宿周辺で使えるお食事券をゲットしたからというのは内緒だ(ぇ


 そんなわけで、例によって「続きを読む」から。




 11時半ごろ、新宿駅に到着。まずは1枚。



西口地下のロータリーから頭上を見上げる。



 ここから、地下道(?)を通って都庁方面へ向かいます。



地下道の道端に並ぶ謎の突起。
 以前友人に教えてもらったのですが、これを「排除型オブジェ」とか呼ぶそうで。よくある無意味なオブジェに見えて、実はホームレスの人たちが住みつかないようにという目的で据え付けられてるそうです。
 確かに、ベンチにしては斜めになってて座りにくいだろうし、何となく気にはなっていたのですが、そう聞かされてみると納得。と同時に、何か「針山」という連想もしてしまうのでした。


 さて、地下道を出て、きらきらしいホテルの横などを通りますと、間もなく東京都庁に到着。さすがの大きさ。聞いた話では、この建物だけで一日の電気代が1億だとか何とか。なるほどそれで私の都民税がべらぼうに高いんですn(ry


 で、せっかくだから屋上展望台に上ってみる事にしました。5年以上新宿に通い続けてるけど、何気に初めて。
 軽い荷物検査の後、他の人と一緒にエレベーター待ちに並ばされ、やがて開いた扉の中に入りますと。エレベーター係りの人が厳かに、
「ドアが閉まります。屋上までは約55秒で参ります」
 と一言。……え、長くね?(笑)


 まぁ少々待った甲斐ありまして、展望台からの景観はなかなかのもの。とはいえ、あいにくの曇り空だったので、そう遠くまで見渡せなかったのは残念。
 ていうか、この企画も今回で4回目ですが、過去の記事見てもカラっと晴れてる写真って1枚もないのよね(笑)。どういうことなの……。
 ちなみに、平日だったせいか人はまばら。どっかのサラリーマンが窓側に腰かけてお弁当食べてたw



そんなわけで、景観。明治神宮方面を写す。
ちなみにこの写真の右下の細長い建物の屋上で、直径が車1台分の長さくらいの巨大な室外機みたいなのが5機、ガンガン回転しててちょっと恐怖しました(笑)。



もう一枚、雑多な市街地を。この写真の範囲内に、一体どれくらいの人間がいるのやら。


 あと、この都庁の構造上の仕組みを解説したパネルもありましたが、この建物のために作られた特製の柱の名前が「スーパー柱」、特製の梁の名前が「スーパー梁」だったのはどうかと思いました(ぇ
 そんなわけで、一周したところで地上へゲットバック



 都庁を出て、すぐそばの新宿中央公園へ。


 ここもなかなかに広い公園。時刻はちょうどお昼休みの時間帯で、お疲れ気味のサラリーマンさんたちをたくさん見かけました。



そして、亀ものんびり甲羅干しをしていました。キモカワイイ(ぇ


 そのまま公園を突っ切ったところで、再び足を新宿駅方面へ向けます。今回はいつもと違い新宿周辺を重点的に歩く計画。ランドマークには事欠かないし。
 そんなわけでオフィス街を横目に歩く。やはり何だかんだでこの辺りは目もくらむような高層ビルが多いです。都庁を筆頭に、見上げているだけで圧倒されるくらいに。



 その都庁の展望台付近。この凹んでるところにパラボラアンテナらしいものが設置されてるんですが、なんかキノコが生えてるように見えて気になるw


 で、こういう高層建築とかって、大なり小なりデザインに趣向をこらしたりするわけで。さらに付近にもよく分からない芸術的(?)オブジェがちらほらあったりして。
 一つ一つはデザインやアクセント、ちょっとしたアピール程度の意味なのかも知れませんが、これだけ狭い範囲に集まってると、なんか街全体が異次元空間(笑)。



こんなのが、あちこちにワラワラあるんだもん。



 首をひねりつつ、例によって細い道へ細い道へ入っていく私。
 そうこうするうちに、JR線の線路沿いに出たようです。
 正直、体感でさっきの都庁近くからあまり歩いていないんですが、線路沿いのこの辺に来ると風景が急に鄙びてきます。それはもう、戸惑うくらいに。



まあ人が住んでる場所であれば、これくらい生活感があるのはまだ分かるにしても。



この高架下の情景は、なんか下町情緒っぽいものが出過ぎてて困惑w
頭上にあるのはおそらく小田急線かな。


 同じ新宿だよなぁ? とさらに首をひねりつつ。行くうちにJR代々木駅へ到着。こちらの駅前は代々木ゼミナール代々木アニメーション学院ばかりが目立ってるような印象(笑)。
 すぐに通り過ぎ、新宿寄りに軌道修正しつつなおも進む。そうこうするうちに、新宿御苑の敷地に接する道へ出ました。


 どうでも良い話ですが、ここまでの道すがらで何人か喫煙者を見かけました。それが何か、いずれも人気のないさびしい場所で孤独に煙草をふかしてまして。半地下の駐車スペースの奥とか、雨どいと室外機だらけの細い路地裏とか。



わかりにくいですが、新宿御苑の敷地を目の前にした、小さな事務所の入口脇。ぼやけてて読めないですが、この白い紙に、「喫煙場所」の4文字が素っ気なく印字されてます。道路に面した、完全な屋外ですよここ。
 いくらなんでもあんまりじゃね? とか思ったりw
 私は煙草は吸いませんが、これはさすがにご同情申し上げる。



 さらに歩いて、やがて新宿御苑の入口へ到着しました。せっかくなので入ることに。入場料安いし。


 ここには過去、何度か来ています。天気の良い日に木陰に寝転がって本読んだりとか。わりとお気に入りスポットだったりします。
 何といっても、べらぼうに広い。



 こんな感じ。
 この芝生しかない景色が、新宿口から逆側の端まで、1km弱くらい延々続いているという。その他にも日本庭園もあるし。
 正直ここは、子供時代に来たかったですね。ボールだの何だの持って一日中遊んだり、そういうのにはちょうどいい場所です。家族づれなら、帰りがけに新宿駅近くのデパートで買い物して帰れば良いんだし。
 もちろん大人一人でも、芝生に寝っ転がって本読んだりしても良いわけで。まあその場合はレジャーシートは持って行った方がいいけど(実体験から得た教訓


 ここで、芝生に倒れ込んでしばらく休憩。適当に中を歩いてから、再び御苑の外へ出ました。


 そのまま、新宿2丁目の街中を散策。例によって細い路地裏をうろうろ歩くだけですが。
 途中いくつか、小さな児童公園を見かけました。しかしこうして東京を歩いていると、この手の公園というのが誰のためのものだったか忘れそうになりますね。大抵、見かけるのは子供よりも休憩中のサラリーマン。ほとんど大人の憩いの場状態になってました。
 まあそれだけならまだ良い方で、誰ぞの生活空間、完全なプライベートスペース状態になってるのも見かけましたが。悪いとは言わないけど。
 この2丁目の公園で、缶コーヒー片手の大人たちに囲まれる中、小学校くらいの女の子2人が談笑しながらブランコこいでるのを見て、微笑ましいような、痛々しいような、微妙な心境に。



 適当なところで折り返し、靖国通りを渡って新宿東口方向へ向かいます。より正確には歌舞伎町方面。
 ここでも、大通沿いに歩いてもあまり面白くないので、路地裏へ路地裏へ。


 まあ、ごく普通の住宅地。時々学校とか、何とか会館みたいなちょっと古めの建物があったりとか。
 そして妙に小ネタ写真ばかり撮るハメになる私。



よほど大量発生するらしい。



同じくこの付近で見かけました。座布団のノエルちゃんです。



金色の自転車。一体何に駆り立てられた結果なんだろうか……。



これ黄色いのは全部ハシゴです。これで火事の時の避難も安心……なのか……?



 そして、ここまで来て本日初めての神社へ。この日はなんだかやけに神社に縁がない日で、地図とか見て近くにあるらしいと分かってても見つからなかったりだったんですが。ようやくです。
 で、今回から神社やお寺は正面からの写真を撮っておく事にしましたので。



西向天神社。
 ちょっと斜面がちなところに建つ、小さなお社。大きくはないけど、雰囲気はある神社でした。祭神は菅原道真ですね。よく見ると梅の模様が見えます。



 お参りを済ませて靖国通りへ出、さらに新宿駅方向へ。遠方に大きな「EPSON」の看板が見えてくると、いよいよ歌舞伎町付近。でもちょっと脇道にそれて、



マルイメンの建物を裏側から。この手の大型店舗って、裏側から見るとけっこう無骨だったり威圧的だったり。もろに「STAFF ONLY」って空気が流れてたりします。



 そしてこのすぐそばに、花園神社があります。



花園神社。
 ここもわりと馴染みの場所だったりします。祖父母につきそって、年末の酉の市に熊手買いに来たりね。そうした時には大量の屋台が出て、人手も大変なものですが、そうでない日は静かなもの。
 しかしこの日は、屋台のかわりにこんなものが。



 唐十郎の演劇がかかってるらしい。この日はお休みの日だったようですが、こんなのも来たりするんだーとちょっと珍しがってみたり。
 本格的にテント張って興行するなんて、なかなか粋ですね。テントの張り方も、アニメやゲームでサーカスが出てくる時に出てくるテント、あれと同じ感じでロープ使って作られてました。
 ……まあ、とはいっても、テント自体の材質がビニールシートなので若干微妙な感じですが。



 さて、参拝を終えて、いよいよ歌舞伎町へ。


 押しも押されぬ歓楽街、大遊戯場歌舞伎町でありますが。
 靖国通りから入ってすぐの辺りは、まぁ男性向けの風俗店がわらわらと並んでいるわけですが。そこからさらに奥に行きますと、今度は逆にホストクラブが数えきれないほど並んでおります。あちらこちらの看板に居並ぶイケメンの顔が一斉にこちらを見下ろしてくるという、なかなか恐ろしい地域(笑)。
 で、さらにその奥はホテルと。


 適当なところで引き返し、今は亡き新宿コマ劇場のそばを通る。
 実はこの歌舞伎町の猥雑な街並みは嫌いじゃなかったりして。ご飯食べたりゲームセンター覗いたりするだけだけど、時たま仕事後にこの辺をうろついたりします。私みたいなのがぼんやり歩いてても、別に危ない目にあったりはした事ないなぁ。少なくともコマ劇場付近くらいまでなら、深夜でも特に大過なく歩きまわれます。まあ客引きに声かけられるのは面倒ですが。
 背の高い黒人さんに「オニーサンこれから予定ある? キャバクラどう?」とか聞かれて「これからギョーザ食べるの、ギョーザ」と答えたりする、そんな私の歌舞伎町ライフ。
 通りかかったので、いつもの習慣でこの日もついゲーセンちょっとだけ覗いてしまった。ていうか私の日常の行動圏内だと、歌舞伎町まで行かないと「クイズマジックアカデミー」おいてる店なくなっちゃったからねぇ。最近どんどん減ってますから、ゲームセンター。
 もちろん、そんなところ行ってる時間でもっと有意義なことするべきなんですが。それでも、やっぱりなんかちょっと寂しいんだぜ。


 西武新宿駅の脇を通って、再び西口側へ。
 ちょっと路地裏に寄り道したりしつつ。わりと広めな墓地があって、卒塔婆が乱立する敷地内から東京モード学園校舎のコクーンタワーが見えたりして。こりゃ仏さんたちも落ち着かなかろうと思ったり(笑)。



せっかくだから根元まで行ってみた。実に目立つ建物。間近に見ると、その妙な形とも相まってくらくらしてきます。


 ていうか、西口のこの辺りはもう、歩いてるだけで首が痛くなってきますね(笑)。
 あっちもこっちもビル。



 ところが。
 このコクーンタワーから歩いてわずか5分前後。都庁とは逆側に少し歩いて路地裏に入ると、



こんな古ぼけた町並みになってしまいます。
いや本当、この日見て歩いた中で一番古そうな建物、アパートや民家がわらわらと。



この鄙び方。都庁からだってせいぜい歩いて10分程度の場所ですよ?


 何だろう、本当にさ、道一本でがらっと風景が変わってしまうんだなぁ。通り一本向こうには摩天楼があるんですけどね。
 もともと江戸時代からの大都市で人がたくさん住んでいたところを、上から塗りつぶすみたいに新宿副都心とか作っていった結果なんでしょうが、その塗りつぶしの境目がこんなにくっきりしてると思わなかった。
 これ、この付近の住宅に住んでる人たちはどう思って暮らしてるんだろう?


 そんな事を思いつつ、再び新宿中央公園へ戻ってきました。
 で、昼に来た時には見つけられなかった神社へ忘れずに参拝。



十二社熊野神社


 名前の通り熊野からの勧請ですが、けっこう時代が古いそうで。
 かつてはここを中心に滝があったりして、江戸名所図会にも載っていたそうです。今はもうありませんが、それに代わる東京名所は付近に事欠きませんね。


 巡り巡って、昼間に亀を撮ったあたりへ戻って参りました。ていうかこの時初めて気づいたんですけど、この噴水、表側と裏側に分かれて滝状に水が落ちて行ってるんですが、表側の大きい方を「新宿ナイアガラの滝」、裏側の小さい方を「新宿白糸の滝」って名前なんですね。なんていうか、白々しいというか(ぇ


 ……「スーパー柱」といいこれといい、新宿区のネーミングセンス大丈夫か?w


 で、新宿白糸の滝(笑)で昼間には甲羅干しをしていた亀たち、この時間は思い思いの場所を泳いでいました。
 その代わり、カモが一羽おりました。せっかくなので、



コクーンタワーfeat.カモ


 ていうかコクーンタワーが目立ち過ぎ。この日どこ行っても遠景に見かけるたびに反応してしまった。


 そんなわけで、この日の行程は終了。
 帰りは行きとは逆側の地下道を、動く歩道でのんびり帰りました。さんざ写真に撮ったそのコクーンタワーの根元を通りつつ。



 この日歩いた経路は概略この通り
 とかくこの日は、「ハリボテの表と裏」を強く意識させられました。
 たとえば先日訪れた六本木ヒルズなんかは、周囲の住宅街とそれなりに溶け込んでいるように思えたのです。違和感はそんなに無かった。うまくグラデーションを作っていたというか。
 それに比べると新宿西口のちぐはぐな感じはかなり鮮烈。


 たとえば都庁なんて東京観光の名所のひとつで、海外からも多くの人がやってくるのでしょうに、こんなたかだか5分道をそれただけで化けの皮がはがれるみたいな状態で良いのかなぁ。
 もちろん観光客なんてたいていは、決められた順路を見て回るだけなんでしょうけども。うーん。
 なんかちょっと、本気で頭がこんぐらがってきてしまいました。都市計画の本とか読んでみようかな。


 今回はこんな感じで。