東方儚月抄 小説版最終話(後編)

 危うく忘れる所でした(笑)。コミック版が終了してから2〜3か月の間をおいて、小説版もこれにて完結ということで。



 とりあえず、レミ様の海出現計画のせいでパチェが割を食っているのがかわいそうでした。あと挿絵で指でバッテン作ってるのが可愛い(ぉ
 あと、レミリアと紫の会話が良いですね。ゆかりんの「そんな昔の事、忘れました」にクスリと笑うレミ様、という構図がなんとも言えない。大物同士の会話という雰囲気。
 そして、月に攻め入ったレミ様について、「最初から勝てると思っていなかったのかもしれない」と、地の文とはいえあっさり書かれてしまって、あきれるやら驚くやら(笑)。まぁ確かに、事態のなりゆきを思い返すと、そうかも、とも思えますが。この辺の、本気のような遊びのような、どちらともとれる妙な余裕が東方の持ち味なんで、納得できるような気もする。そうするとやっぱり、コミック版での盛り上がりはブラフだよなぁ。
 表面上の勝敗がどうなろうが、要は楽しければ良い。そういう美徳のあればこそ、「スペルカードルール」という夢のような決闘方法も成立してるんだもんね。



 とりあえず、「図書館の伊豆」って何だよw


 そして、魔理沙が月ロケットを評して「あんなんただのミサイルだぜ?」に大笑いw まあ確かにな(笑)。あと、それに応えながら、指をくるくる回すレミ様かわいい(そればっかりか


 そしてそして、静かな静かなクライマックス。永琳が月のお酒を飲んで動揺するくだり。
 結局、ゆかりんが自らを囮とする捨て身の作戦でターゲットにしたのは、永琳だったという事になります。
 これは読めなかったなぁ(いや読める方がおかしい
 なるほど、紫は幻想郷の裏の管理人というか監視人のようなもので、幻想郷の存続にかかわるような問題には迅速に対応して収拾する立場に実質います。従って状況次第では、幻想郷のどの勢力をも牽制できなきゃいけない。
 その意味で永遠亭勢力、その実質のブレインである永琳に釘を刺した、紫に対する畏怖を刷り込んだわけでした。
 それが幻想郷の“住民税”だったと。


 うおー、これはまた予想の斜め上。
 正直、幽々子の能天気な空き巣行為という漫画版のオチで終わりだと思っていたので、さらにここにつながってくるというのはまったくの予想外。そうくるか。


 結果的に、私の望んでいた「賢者同士の対決」、つまり八雲紫vs八意永琳という構図が見られた事になるわけで、うむ、これは小説版のラストまで読んで、ようやく私的に満足したと言わざるを得ない。
 まぁ、雑誌連載の状況として、「コミックも小説も両方追う」のがそれなりにかったるく、コミックだけ追っていた人も相当数いただろうし、従ってこの紫の思惑の核心部分が、小説版最終話のここまで押さえないと分からないというのは、作品の面白味としてはもったいない感じもする。
 けれどそこがまた、東方っぽい部分でもあって、なんか否定しきれないんですよね、私は。本当の核心というのは事態が盛り上がってる時に満を持して、満場の喝采の中に出てくるとは限らなくて、実は事態が沈静化した後、祭りが終わって人々が去った後、それでも静かに見守り続けていた者の前にこそひょっこり現れる。それは別に派手なことではなくて、けれど重要な一点を穿っている。
 そしてその核心を静かに見据える者こそ、賢者なのだと。
 なんかそういうメッセージのようにも思えてきたりします。神主好みな展開だよね。一迅社の希望や思惑とはかけ離れてるでしょうが(笑)。


 そんなわけで、確実に私の中の儚月抄評価が上方修正されました。
 もちろん失敗部分も多々あったと思うけれど、結果的には東方の持ち味が上手く反映されてて、普通の商業作品とは違った味にあふれててそれなりに楽しめましたよ? 個人的にはだから、まぁまぁ面白かった、という辺りです。
 ともあれこれで、儚月抄に関する記事も〆。当面REXもキャラメルも買わなくて済むんで、肩の荷が降りました。
 以上、感想。



 ……追記。一迅社儚月抄HPの更新サボんなw