断章のグリム いばら姫
- 作者: 甲田学人,三日月かける
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/04/10
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ネタばれ注意。
電撃文庫で唯一アニメ化できそうもないこのシリーズも、いつのまにか10冊を数えるんですね。
今回の話もぶっちぎりでそんな感じでした。特に今回は、もし原作に忠実にアニメ化したら蓮コラを超える精神的ブラクラになる事必至です。絶対無理(笑)。
そんなわけで今回は「いばら姫」。最初からクライマックスだぜ(ぇ
とにかく最初から、狭い家の中に閉じ込められた状態で状況が悪い上、その後も一貫して状況が好転するという事がほとんど見られないという凄いお話なのでありました。
前々から思ってたけど、特に今回「女子供にも容赦しねぇ」度が常にMAXで針が振り切れっぱなし状態。読みながら「ぎゃああああああああああああああ」とか悲鳴をあげずにいられない。
何というかもう。
単にグロ、残虐に走るだけならともかく、ぎりぎりライトノベルとしての話の枠を維持しながら、ここまで突っ走れる甲田学人先生は正に鬼神の如きでありました。
これは「参りました」と言うしかない。
特に。作中、耀君という小さい男の子が、ちょっと幼い正義感を見せて作中人物と読者をほっこりさせるシーンがあるわけですが。
普通の作品なら一服の清涼剤くらいで済むこの正義感を見せた事が、『断章のグリム』の世界では死亡フラグとして計上されてしまうんだなぁというのが、感心するやら何やら。
本当にこちらの想像の斜め上を行くなぁ。思わず放心しましたよ、「え、あれって死亡フラグだったの!?」(笑)
そして最後までとことん救いのないまま終わる。
最後の蒼衣君と神狩屋さんとの会話で、唯一の希望、唯一の光として言及されてる人が……家族全滅、そのうち乱心した父親は自らの手で殺害した挙句、カウンターで実の父親に殴られて意識不明に陥ってる娘さんというのが、何かもう……。
……えーっと、うん、まぁ、その、良くなるといいね(遠い目
とりあえず今回、珍しく蒼衣君も結構えげつない目にあって、その中でどうにか頑張っていたところが少し主人公っぽかった。しかし“痛い思いをした度ランキング”があったら雪乃さんには未だはるかに及ばないのであった。
やっぱり主人公を張るためにはもっと痛い目にあわなきゃ、と思ってしまう奈須きのこ脳の私(ぉ
ともかくそんなわけで、相変わらずグロいし救いもないし読むのが疲れるのですが、プロットも文章の迫力も他作品ではなかなか味わえないクオリティなので結局読んでしまうシリーズでありました。
甲田学人先生には是非、もうこの道を爆走していただいて、金字塔の一つも打ち立てていただきたいと思いました。「この痛覚描写がすごい!」みたいな感じで(ぇ