徒然草


新訂 徒然草 (岩波文庫)

新訂 徒然草 (岩波文庫)


 3〜4か月くらいかけて、ちまちま読み進めてました。仕事場での休憩中に。
 たいていちょびっと読むと、もう眠くなってお昼寝になるんですけど(笑)。なのでなかなか進まず。



 言わずと知れた日本の随筆の名作ですね。なんで唐突に読む気になったかというと、多分松岡正剛氏の「千夜千冊」で、久々に「名作読もう」グルーヴが高まったせい。


 まぁ、もちろん「なるほど」とか、卓見だと思える文章もあるんですけどね。何だろうなぁ、通して読んでみると、どうでも良い事もけっこう書いてあるというか(笑)。
 この時代の古典で、お話が載っている場合って大抵、説話、つまり教訓がある話が多いわけですよ。きちんと話が落ちて、そこで教訓になるわけです。こないだ読んでた『日本霊異記』なんか典型的ですけど。
 ところがですね、兼好が拾ってきて徒然草に書いてる話って、取りとめのない噂話だったりするから、オチもないしヤマもない、とかいうのが結構あって(笑)。ごく稀には意味もないw
 そんな段も結構散見されるものだから、ちょっと変な読み味でした。


 この岩波文庫版で解説書いてる人は、『徒然草』は兼好がきちんと「緻密な思索的論証」と「自己の作風を確立しようという意欲」があると書いてるんですけど、私が読んだ限りでは、わりと思いつきで書き綴ってるような印象の方が強かったですけどね。
 ノリとしては、現代のブログ書くのとあんまり変わらない感じで書いてたんじゃないかなぁ(笑)。時々ついったーっぽくもある。


 だってねぇ。基本的にこれ、一段一段は短くて、そんなに長く一つの話が続く事ってあんまりないんですけど。ページめくっていったら久しぶりに長い段が来てて、「お、何の話だろう」と思って読んでみたら、「酔っ払いは見苦しくて最低だ!」って愚痴が延々書いてあったりして(笑)。なんでそんな急に熱く語ってるんだよお前は、みたいな気分。きっとよっぽど嫌いなんでしょうね、酔っ払い。
 酒呑むと地獄に落ちるらしいよ?(笑)


 それに何か、万事に渡って積極的にならないというか。乱暴に言えば、やる気がない(ぇ
 子供なんか作らない方がいい、知的好奇心も持たないに越したことはない、人間関係も出来るだけ少ない方が良い、とかね。色欲や食欲に振り回されるなんてもっての外だし、世俗の忙しさにくるくる働くのも良くないという。
 言いたい事は分からなくもないけど、いや、どうしろと、っていう感じです。みんなが兼好の言う通りにしたら人類滅んじゃうよ?(笑)
 まぁこの辺りが、遁世者の発言の真骨頂とでも言うべきところで。



 もちろん、冴えてる時はものすごく冴えた事が書いてあったりします。「花は満開の時だけを、月は満月の時だけを見るものだろうか。そうではなくて、雨の夜に(見えない)月を恋い慕うのもまた情緒が深いもの」なんていうくだりは、何とも言えないしみじみとした視線があって。そう言う風に世の中と向き合って、趣を感じる視線というのは、やっぱり何とも言えず良いわけですよ。どこぞの亡霊も言っていた通り、雨月の良さを解する心というのも、せっかく日本に生まれたのなら持っていたいところ。



 そんな感じで。
 これ、どうせならどっか無料ブログ借りて、「ブログ訳徒然草」とかやってみたいなぁ。ブログっぽい文体で現代語訳するの(笑)。時間があったらやってみたいけど……。はてさて。