大英帝国



 山川の『イギリス史』と同時に、副読本として購入しておいたもの。
 相変わらず西洋史は苦手な私ですが、ルイス・キャロルが生きていた時代と思えば多少は関心も起こったりする次第で。
 もちろん、産業革命前後への関心も手伝って読み進めたわけですが。


 しかし、そういう華々しさばかりではなく。むしろそうしたイメージの陰に隠れている下層階級の生活に、より密着した筆致で本書は書かれており。また私の印象に残ったのもそちらの方でした。
 ナイチンゲールから始まる本書の語りは、当時の生活水準・衛生面での問題や人権、植民地支配の意識など、繁栄を極めた当時のイギリスの裏の部分もけっこう容赦なく記述していくわけで。
 まぁ、何だかんだで、変に褒めそやす事ばかりを書く人よりも、こういう書き方をする人の方が信用できるというのが私の経験則でもあり。


 私の方に、もう少し世界史の素養があればより楽しめたのでしょうが。しかしともあれ、さすが講談社新書といった感じの、上っ面だけでない充実した内容という印象でした。
 やっぱり良い仕事してるなぁと。
 惜しむらくは、昔の表紙が恋しいことくらいですが(今更