水木しげるの古代出雲


水木しげるの古代出雲 (怪BOOKS)

水木しげるの古代出雲 (怪BOOKS)


 4月16日読了。
 書店で見かけてついうっかり買ってしまった(笑)。


 水木先生、意外に勉強家なんですよね。学術書として読めないのは当然として、割り切って読めるならかなり面白く構成されてると思いました。
 考古学的事実と、古事記日本書紀の神話記述と、出雲国風土記の記述とを大胆に一本の流れに統合した筋で。斬新ではないかも知れないけど、やはり長年実戦で鍛えてきた漫画の表現力、構成力、説得力で読ませてしまう感じです。けっこう面白かった。


 あと、水木漫画はね。やっぱり、登場人物が何の脈絡もなく鼻ほじってたりするコマとかが不意打ちすぎて楽しい(笑)。こうでなくっちゃ、というところです。
 何気に、漫画で、つまりビジュアルイメージでこうしてまとめられると、色々と考えるところもあって、お勉強の観点からもけっこう刺激になりました。
 弥生末期の頃の航海技術では対馬海流を超えて九州に入る事が出来なかったため、出雲が日本の海の玄関だったという話も。そうだとすれば、航海技術の進展とともに、日本の海の玄関が時代ごとに変わっていったのかな、とも思ったりして。一時北陸地方が海外との接点だった事もありましたし、遣隋使が出るくらいの頃にはもう九州が玄関口だったわけで……その辺も整理してみると面白そうかもな、などと。
 いやいや、なかなか楽しかったです。