邪馬台国への旅


邪馬台国への旅 日本全国・比定地トラベルガイド50

邪馬台国への旅 日本全国・比定地トラベルガイド50


 5月7日読了
 邪馬台国比定地をゆるく紹介していく、というコンセプトの本。
 あくまでも初心者向けガイドで、内容もそこまで突っ込んであるわけではありませんが、信憑性の高そうな説から珍説奇説まで、距離を置いて俯瞰できる構成が気に入り、スタートはここから入ろうと考えた次第。


 元々、古代史や考古学周辺をうろうろしていると、邪馬台国関連の話題は嫌でも入ってくるわけで。しかしその内容というと近畿説と九州説のそれぞれの支持派が口角泡を飛ばしていたりして、こういう雰囲気の世界には、門外漢はなかなか入りにくいものだったりします。
 大体、こうした学術上の議論において、結論にアイデンティファイしてしまうと、新事実や新発見が出て来ても自分の意見を曲げられなくなってしまうため、純粋にいえば学問上は良いことではない、と考えているような人間なので。概して「○○派」みたいなのは嫌いだったり。


 そんな気分で、いきなりどちらかに味方したくはないなぁと思っていたところで、見つけたのがこの本だったのでした。特定の説の味方をするわけではなく、信憑性の薄そうなトンデモ説も排除せずに並べるという方針は、私の気分にすごく合っていたわけでありました。
 内容も、一つ一つの項目は薄めの紹介ながら、文献案内、関連遺物を見られる施設の紹介、豊富な写真、抑制のきいた文章、巻末には魏志倭人伝の原文と書き下し文を収録するなど、何気にすごく行き届いた本です。
 今後、せっかくだから邪馬台国関連の議論について、論点を整理していく事も暇を見つけてやってみようかと思うわけですが、始まりに良い本に会えてよかったと思います。
 そんな感じ。