孔子暗黒伝


孔子暗黒伝 (集英社文庫(コミック版))

孔子暗黒伝 (集英社文庫(コミック版))


 5月17日読了。
 『暗黒神話』は読んでたのに、これは読んでなかったので。


 最初の数十ページを読んで、孔子化胡説あたりを下敷きにしてるのかなと思ったのだが、もちろんそれも意識しているのだろうけれど、そんな単純な構想に収まらない、とんでもない壮絶に壮大な話で圧倒されるやら何やら。
 いや凄い。これぞ伝奇だわ。感服して平伏して脱帽。もうグゥの音も出ませぬ。
 とにかく、孔子などの歴史上の逸話に、仏教の教えに、各地の伝説に神話に、地球史に天文学宇宙論にと、様々な位相の話の中から、共通する構造やアナロジーを見つけて来て結び合わせて一本のストーリーにまとめる。その縦横無尽さ。まさに私が憧れるところであります。
 いやいや、もっと早く読んでおくんだった。これは名作です。


 もう何て言うかね、諸星作品ならではの、万物がドロドロのゲル状に溶け出してしまいそうな、不定型な質感が独特過ぎて。肌に合わない人はトコトン合わないだろうけど、逆に諸星作品はこの質感がないと落ち着かないですな(笑)。
 そして何より、この作品が『週刊少年ジャンプ』に連載されてたというのが、なんかもう悪い冗談としか思えないのでした(笑)。



 こりゃあ、『西遊妖猿伝』も読まねばならぬかな……。