孔子暗黒伝
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/11/15
- メディア: 文庫
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5月17日読了。
『暗黒神話』は読んでたのに、これは読んでなかったので。
最初の数十ページを読んで、孔子化胡説あたりを下敷きにしてるのかなと思ったのだが、もちろんそれも意識しているのだろうけれど、そんな単純な構想に収まらない、とんでもない壮絶に壮大な話で圧倒されるやら何やら。
いや凄い。これぞ伝奇だわ。感服して平伏して脱帽。もうグゥの音も出ませぬ。
とにかく、孔子などの歴史上の逸話に、仏教の教えに、各地の伝説に神話に、地球史に天文学や宇宙論にと、様々な位相の話の中から、共通する構造やアナロジーを見つけて来て結び合わせて一本のストーリーにまとめる。その縦横無尽さ。まさに私が憧れるところであります。
いやいや、もっと早く読んでおくんだった。これは名作です。
もう何て言うかね、諸星作品ならではの、万物がドロドロのゲル状に溶け出してしまいそうな、不定型な質感が独特過ぎて。肌に合わない人はトコトン合わないだろうけど、逆に諸星作品はこの質感がないと落ち着かないですな(笑)。
そして何より、この作品が『週刊少年ジャンプ』に連載されてたというのが、なんかもう悪い冗談としか思えないのでした(笑)。
こりゃあ、『西遊妖猿伝』も読まねばならぬかな……。