錬金術
- 作者: セルジュ・ユタン,有田忠郎
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1972/12/05
- メディア: 新書
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なぜかちまちま読み漁っている錬金術関連書籍。
文庫クセジュ読むの久しぶりだな、とか思いつつ読了。
先日読んだ『知の再発見双書』のものより、若干文化史寄りの内容でしょうか。錬金術の歴史とか、各時代を代表する錬金術師の列挙とかもされていて面白くはあるんだけど、いかんせん新書の情報量なので。やはり駆け足になってしまいますねぇ。
まあ、上記『知の再発見双書』でも指摘されてましたが、ライトノベルとかアニメとかで錬金術ネタが出てくると必ず言及される「ホムンクルス」とかは、錬金術全体の歴史から見るとかなり新しい、しかも錬金術の本質とはちょっと離れた話題なのですねぇ。あくまでも賢者の石に至る事が錬金術の最大の目的かつ本質であるという事で。
あと面白かったのは、錬金術では鉱物も長い期間をかけて金や銀へと成熟していく、一種の有機物であると見なすわけなので、実は人間に対して鉱物由来の薬を投与する、という発想は錬金術がなければ起こらなかっただろう、という指摘。この本の中ではほんの短い指摘に過ぎませんでしたが、確かに人間の体を構成する要素にはミネラルもあるし、食品からミネラルを摂取する必要もあるわけで、意外に面白くて深い洞察かもしれません。
そんな感じ。全体的によくまとまった入門書だと思うので、興味のある方には良いのではないかと。