本多知恵子さんの訃報に接して


 2月22日の夜、声優の本多知恵子さんの訃報が流れました。
 様々な役を演じられた方でしたが、私にとってはやはり『ガンダムZZ』のエルピー・プルの声の方、でした。


 どのように言葉を重ねても、この件について私が感じた諸々を、うまく記述できる気がしません。
 なので、ただ、過去に自分が書いた小説の話を、少しだけしたいと思います。


 ガンダム考察サイト【M.S.Classify】さんに間借りして公開している、私のガンダム二次創作小説があります。


 機動戦士ガンダム0092 球形の心に抱かれて
http://members.jcom.home.ne.jp/0911502801/zsphere.htm


 私の現在のHN、「zsphere」もここからとったのですが……少年主人公が、ガンダムに乗って、プルクローンを救いに行く、そういう話です。原稿用紙換算で800枚以上あります。
 ガンダムZZの「重力下のプルツー」で、エルピー・プルの最期を見た時、それが明確に私の中で傷になりました。人恋しさを持て余した子供が、その末に、「自分を殺す」ために散っていくという、そういうストーリーでした。それは同時に、私の中の童心が、救われないまま死んだ瞬間でした。


 私は自分の中のエルピー・プル……人恋しいと泣いている子供心を救うために、宇宙世紀の世界に飛び込んで、長編小説の執筆を戦い抜くハメになりました。


 その時、作中に登場するプルクローンの声は、もちろん本多さんの声でなければなりませんでした。
 「あの声」で聞こえるようにと、一つ一つ念じながら、セリフを綴っていきました。


 昨晩、訃報に接して、ショックを受けてツイッターに色々書き散らしたけれど、結局私が言葉にできる気持ちはすべて、この作品を書いた時に言い尽くしてしまっていて、それ以上の何かを言える余地が無いのでした。
 なので、みっともない手前味噌の宣伝になると知りつつも、この作品を手向けに、哀悼の意とさせていただきたいと思います。


 本多知恵子さんのご冥福を、お祈りいたします。