枕草子(下)


枕草子(下) (講談社学術文庫)

枕草子(下) (講談社学術文庫)


 ちょっと時間がかかりましたが、無事最後まで読めました、枕草子
 いやぁ面白かった。これはやっぱり、「教科書に載ってる古典」みたいな堅苦しい本だと思って身構えて読むより、軽い毒舌エッセイだと思って読んだ方が良いと思う(笑)。現代語訳つきのもあるんだし。


「毒舌」って、ネクラなものじゃないんですよ。陰でチクチクと恨み言を言うのは毒舌ではない。あっけらかんと言い放つから毒舌なんです。そういう意味で、枕草子は素晴らしい毒舌エッセイだと思うのw


 この巻で一番笑ったのは、「うれしいこと」を列挙した段で、「自分が憎らしく思ってる人がひどい目にあってるのを見るのは、ちょっと不謹慎かなと思いながらも、やっぱり嬉しい」とか書いてるところ(笑)。清少納言さんこういう事平気で書くからなぁ。
 こういうのに対して、「相手の気持ちがわかってない、配慮が足りない」みたいな事を書く監修者の先生は、何も分かってないなぁ、と正直思います。平安時代にさ、そういう配慮をしない生のままの感情を、そのまま赤裸々に書いちゃったから面白いんじゃないですか、このエッセイ。ああ、平安時代に生きてた人たちも、現代の我々とあんまり変わらないなっていう身近さが感じられるわけですよ。


 清少納言さんは舟が苦手だったようで、「あんな不安定なものに平気で乗ってる人の気が知れないわ!」とか書いているわけですよ。これが、現代で飛行機嫌いな人が言う言い草とほとんど同じでね、もう面白いったらないのです(笑)。


 そんなわけで、読み始めの頃に想像していたのをはるかに上回る、有意義で楽しい読書でした。また今度、何か読んでみようかな、などと思っています。