古代研究2
- 作者: 折口信夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/01/01
- メディア: 新書
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引き続き折口信夫。
前巻が祭りの山車とか巫女とかその辺りを主に論じていたのに対して、この2巻目では祝詞、大嘗祭、ひな人形の話などを巡ります。
やはり折口先生の議論は、大和言葉の語源を説くときの説得力がすごい。時に文献資料から離れた議論になったりもするから、論拠の面で弱いと見る事も出来るのだけど、なんかそういう事を超えて「ああ、きっとそうなんだろうな」と直感的に思わされてしまうという(笑)。
純粋に学問として読むなら、その辺りをもっと慎重に検証するべきなのでしょうが、とりあえずアマチュアの私は、この正体不明の説得力を味わって楽しんでおりました。
「ごろつきの話」なんかは、個人的にとても刺激的で。表舞台で名の知られた連中のほかに、歴史の裏で暗躍してた連中というのもいて、そういうのが透けて見えてくると、歴史を見るのが俄然面白くなるわけです。戦国時代の傭兵とか、江戸の侠客とか。この論文はそういうところにけっこう大きく踏み込んでいて、読んでて楽しかった。妄想が広がりますw
また、「河童の話」なんかは、京極夏彦以降注目を浴びた、平成の妖怪研究家たちの書いたような文章と、議論の濃さで全然負けてなくて、一介の妖怪マニアとして素朴に「おお、すげぇ」と。やっぱり、妖怪学なんてケッタイな学問がちゃんと立ち上がれたのは、この時代の学者さんがちゃんと下地を作ってたからだよなぁと、しみじみ。
その他、興味深いところを挙げていたらきりがない次第。とにかく楽しみました。やっぱりちゃんと基本は押さえるべきですな。引き続きこのシリーズも読んでいきますが、間に少し休憩をはさみます。