平賀源内を歩く
- 作者: 奥村正二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/03/25
- メディア: 単行本
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平賀源内と江戸時代の学問・技術関連は私のここ数年の主要な関心の一つでして。
そうした一環で手に取りました。
著者は工学系をある程度修めた方という事ですが、うーん、ところどころ記述に覚束なさを感じて少し不安になったりはしました。だって司馬遼太郎『街道をゆく』が再三引用文献としてとりあげられたりするんだものw
とはいえ、非常に幅広く源内の仕事を取り上げて解説した書籍で、全体的に楽しく読みました。やはり平賀源内自体が極めて色んなことに手を出した人で、後世になって追いかける側もそれについていくのが大変なのですねw
いや、源内先生面白いですわ。こんなにネタに事欠かない人いないよなっていうくらいw
高松藩の命令で美麗な魚類図譜を作ってて、博物図譜マニアの荒俣宏も絶賛するほどの出来だったり。幕府の命令で伊豆に芒硝(硫酸化合物、下剤に使える)調査に行ったり。はたまたエレキテルにしても、のちに弟子の一人がパチモン作って広めたりしたので奉行所に訴え出て、日本における事実上の特許訴訟第一号だとか(笑)。
よくもまぁ、これだけ方々に首を突っ込んだものだと思いますが。惜しむらくは(というかそれが源内先生の真骨頂だと思うんだけどw)事業としてはことごとく失敗しているので、本人の生前の名誉にはあまり寄与していないのですな。そこが逆に面白いと言うか(笑)。教科書に載ってる偉人で、こんなにやる事なす事失敗しまくった人いないぜ?w
しかし同時に、やっぱり目の付け所は良いんだよね。この人。
盛大に失敗した鉱山開発だって、その後同地に(明治あたりから)鉱業会社が設立されて現在まで操業してるっていうんだから、ちゃんと当たりを引いてはいたわけです。
その辺も含めて、非常に面白く読むことができました。
これ関係の本は今後も引き続き読んでいく予定。なにせ底知れない方なので、源内先生を追いかけて退屈するってことは、まだまだ無さそうですw