古代研究3
- 作者: 折口信夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/07/01
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
定番読みキャンペーンを継続中。折口信夫です。いよいよきました「国文学の発生」。学生時代から読まなきゃなと思いながら、放っておいた負債を少しずつ取り返している感じです。
さすがに、なかなか重厚で、完全に理解したとは言えないというのが読後の感想。
しかしやっぱり、この歯ごたえは嬉しくもあったり。
大筋の話は、非常に腑に落ちる、といったところです。日本の文学は、散文より韻文が先だったし、その発祥は恋愛のためよりも、信仰のために歌われた寿詞や祝詞からだった。現在の学会とかでどのように論じられているのか私は知らないのですが、やはりこの辺りはすごく説得力を感じました。
まれびと説も改めて。どちらかというと東北のなまはげとかのイメージが強かったのですが、折口自身がこの説を着想したのは沖縄の習俗からだったんですね。
また、文化を論じるという事の、ダイナミズムと難しさも感じます。天皇も含む宮廷での神事や芸能を語った次のページではもう、市井の流浪の民(折口の言うほかひ人)が各地に伝えた民間の芸能を論じている。それは無軌道なのでも奇をてらっているのでもなくて、聖も俗も有機的に連関した地続きの事象だという事なんですね。
民俗学ってやっぱり、「細かく分割して見ていくだけでは分からない」というのを根本にした学問なんだと思う。柳田、折口、あるいは熊楠にしても、みな横断的な視野で、縦横無尽に語る伸びやかさがあって、私のような人間にはそこが魅力なんだという気がします。
やっぱり定番書は、重いけど、楽しいねw
さて、引き続き頑張りますか。