ここしばらく遊んでたスマホ向けゲームの雑多な感想


 先日、ついに私もスマートフォンに切り替えまして、せっかくだからと目についたスマホゲームをいくつかプレイしてみました。
 先週あたりに大体見切りをつけてすべてアンインストールしたのですが、せっかくなのでここしばらく遊んでみての感想を軽く書き残しておこうかと。
 なお、ここで名前を挙げるゲームには、大体それぞれ3,000円くらいずつ課金して遊んでいます。学生時代の自分だったらできない所業で、ああオレ社会人なんだなぁと妙な実感を噛みしめたりしました(笑)。



    ●パズル&ドラゴンズ


 一時はガンホーの株価を任天堂以上にまで押し上げた、おそらくこの系統のゲームの中では一番有名なタイトル。
 なんだかんだでそれなりに楽しみました。


 やっぱりパズルゲームと組み合わせたアイディアが優れていたのでしょうね。ゲームの進行に動的に関われるし、単なる数字の大小だけを比べるだけじゃなく、コンボが繋がれば逆転もあり得るというような程よい緊張感が出ているのだと思います。
 変に凝った戦略性やデッキ構築の難しさみたいな事がないので、たとえばゲーム途中で長時間の中断を余儀なくされても、戻ってきた時にどうして良いか分からなくなるといった事がないし。良い意味で、浅く遊べるのも携帯ゲームらしく、長所だと思います。


 ただ。
 個人的に細かいところで引っかかりが多く感じました。モンスターの進化ってどうやるのか分からない、とか。出てくるモンスターの、グラフィックによる差別化があんまり強調されていなくて、どのモンスターがどのモンスターより強いといった事が直感的に分かりにくかったり。
 また、特にストーリーなどがあるわけでもなく、淡々と次のステージが出てはクリア、出てはクリアという形になるので、世界観への没入みたいな事もあまりありませんでした。この辺は悪い意味で、浅い。



 つまるところ、ゲームシステムは良く出来てるけど、没入感はイマイチ、でした。
 で、次。



      ●魔法使いと黒猫のウィズ


 個人的にクイズゲームは好きなので、試してみた。
 バトルにクイズを用いている事を除けば、ほとんどパズドラと同じ。


 クイズ部分についてですが、よく考えられてるなあ、という感じでした。私は一時期アーケードで『クイズマジックアカデミー』なんかも遊んでいたのですが、あちらは対人戦でより難しい問題をより速く答えなければならず、最終的に一番高いクラスになると、問題をメモりながらやってるような、いわゆる廃プレイヤーと戦わなければならなくなって、結局ついていけなくなって辞めるという事になりがちでした。
 この『黒猫のウィズ』については、その点で進歩があって、「難しい問題が解けないと先に進めない」という事はなくなってました。難しい問題に答えられると、攻撃に参加できる味方の数が増えるので逆転が狙えるけれど、安全に簡単な問題だけで攻略する事もできるという次第。これは良い工夫だと思いました。


 また、前述のパズドラに比べて、直観的に分かりやすい感じがしました。ゲーム中で何ができるのか、何をすべきなのか、等々。
 ストーリーも、短い中で適度に没入感とモチベーションを維持してくれる感じ。ゲーム中のエフェクトなんかも良く出来てましたし。今回スマホで遊んだ中では、総じて一番バランスが良かったんじゃないかなと。


 まぁ物語については、世界観をプレイヤーに伝える上で重要だったりもしますが、逆にストーリーでキリのいいタイミングでふっとプレイが途切れたりする事もあるので。難しいところ。


 あと、世界観をこれだけ作っておきながら、ゲーム内通貨を使用してカードを得られる項目が「ガチャ」と普通に記載されてるのは、個人的にはいただけないなぁというところで。パズドラもそうですけど。それは業界内の通称としてはあっても良いけどさ、ゲーム内ではもう少し世界観にあった名前にしてよって思ったりもします(こういう点でよく配慮をしているのは後述の『拡散性ミリオンアーサー』)。
 なんか結局、課金まわりの事になると途端にゲームへの没入感から醒めさせられてしまうような気がして、うーん、っていう感じはありますね。まぁ、未成年がガチャをし過ぎて社会問題化したりもしましたし、あんまり自然すぎてもまずいのでしょうが。


 まぁでも、今回スマホで遊んだ3つのゲームの中で、全体的なバランスが一番とれてたのはこの『魔法使いと黒猫のウィズ』かな。
 で、次。



   ●拡散性ミリオンアーサー


 スクエニの。実は身内がちょっとだけ関わってるらしく、その縁で知ったのだけど。
 しかし、だからといって感想に手心を加えるようなことは大嫌いなので、気に入らなかった事は普通にそのように書く。


 ゲームシステムの一番根幹の部分は、おそらく上記二つと比べても一番弱い。『SDガンダムオペレーションズ』とかと同じ。正直一番工夫が感じられないという感想。
 スクエニは『戦国IXA』(ゲームシステムはほぼブラウザ三国志と同じ)もそうだけど、既存のしくみを流用してビジュアルと細部だけ豪華にした、みたいな事が多くて、何だかなぁという印象が強い。そこは名に恥じないような、新しい工夫が見たいわけなのですががが。
 というか、探索ボタンを押すと探索度が上がって、それに伴って敵に遭遇したりアイテム拾ったり、みたいなのって発想としてはウィンドウズ95時代のフリーゲームにもあったようなわけですよ。あの頃に比べればはるかに出来る事は増えた筈で、だから上記二つは、パズルゲームと組み合わせたりクイズと組み合わせたりって工夫をしているわけなのですが……うーん。


 演出はわりと凝ってると思うし。また、たとえばダブりカードは自動的に強化をやってくれたり、デッキ構築をしなくても自動で現コストで可能な一番攻撃力強いデッキを組んでくれたり、そういう細部の工夫はさすがだなと思ったりはしましたが。この手のゲームをやっていて面倒、煩わしいと感じるところを上手く解消してるので、思ったよりストレスなくプレイはできるんですけどねぇ。
 基本的に私、「ウェルメイドなだけ」という代物には点が辛くなるのです。


 しかし、諸々不満は感じつつ、ついそれなりに続けてしまったのは、鎌池和馬(『とある魔術の禁書目録』シリーズの作者)のシナリオがわりと面白かったからで。ストーリーにスパイスが効いてると、それだけでゲームの引き締まり方が違うなという感想を持ちました。というか、別ジャンルで実力を披露して「やっぱり本職はすごいな」と感心する、というのを小説書きに対してするのは非常に珍しく(笑)。鎌池氏を参加させたのはこのゲーム最大の褒め所だと思いました。


 また、カードが集まる事で、そのカードにまつわるショートストーリー(ちょっとした寸劇程度ですが)が見られるというのも、工夫としてアリだなと。結局、ガチャを回してカードを得ても、個々のカードへの思い入れが出来ないなら、一線で使える強さのカード以外はどうでもよくなってしまうわけですが。それ以外のカードを集めるにもモチベーション付けをするという意味で、面白い工夫だと思います。
 そういう意味で、世界観への没入と言う点では非常に良い仕事をしていたと思うのですが。


 ただねぇ。
 今回三つほど、この手のゲーム(テレビとかではソーシャルゲームと言われてるけど、厳密には間違いっぽい?)を遊んでみましたが、正直根本のゲームシステムの部分で、まだ洗練されてないというか、とてもベストの形とは思えない感じが濃厚にしました。
 そもそも、レアなカード(モンスター)はほぼ課金しないと入手できない形式だと、ゲームの後半、敵が強くなってくると共に「これ以上進むには課金しないとツライ」瞬間というボーダーラインが出来てしまって。どんなにストーリーが良くても、プレイヤーは資金力が尽きたらドロップアウトせざるを得なくなる。恐らくは9割以上のプレイヤーにとって、そのゲームは「全クリが最初からほぼ望めない」ゲームなのです。せっかく有名作家をシナリオに連れて来ても、ほとんどのプレイヤーは物語の最後に立ち会わない。これではゲームのシナリオなんて便宜の飾り以上には永久にならない、と。
 それで良いんだ、という人もいるのだろうと思いますが。しかし、プレイヤーは馬鹿じゃない。「どうでもいいもの」にお金は払いません。
 どうも現状の課金システムって、ビジネスモデルとして長続きするやり方とは思えないんですよね。


 そこで考えるのは、ここまで色々と挙げた短所がいろいろと克服されている気がする、あのゲームの事です。そう。



      ●艦隊これくしょん


 艦これがヒットしたのは、単に美少女キャラを散らしたからではないのだと思います。
 ここまで色々指摘してきた問題点が、実は大体クリアされている。


 艦これでは、特に課金をしなくても、ほぼすべての艦娘が入手可能です。強い艦もレアな艦も。つまり、基本的に「資金が尽きたからリタイア」という形でゲームを去る、みたいな事は起こらない。課金した結果は、プレイの効率を上げられるという形で反映されます。ゲームの進行に関わらずお金のある時で良いし、またゲーム内の「設備投資」にあたるところなので、世界観をあまり崩さずにすむ。


 また、艦娘一人一人にセリフをつけ、秘書としてホームに常駐させられる事で、戦闘で弱いキャラにも意味が出てくるわけです。せっかく数百体もカードを用意したのに大半はプレイヤーに見向きもされない、といったような事態が起こりにくくなる。


 ついでに言えば、この手のゲームにおいて、ログイン時に最初に入る事になるホーム画面は、実はかなりの時間滞在する画面でもあり。そこを「模様替え」のような形でカスタマイズできたり、出迎えるキャラクターを選べたりするというのも、実は効果的だったのだと思います。



 艦これがヒットした理由を分析している人は大勢いますが、いずれ「太平洋戦争中の艦船の擬人化」なんていうマニアックな題材をとっていながら、これだけ広く受容されたというのは、システム的に優れた部分が少なからずあったと見るべきで、学べる事はたくさんあるのだろうと思ったり。


 まぁ結局のところ、プレイヤーに世界観の中に没入してもらって、キャラクターや空気を愛してもらえる事が一番の販売促進なわけなので。誤解されがちな「フリーミアム」っていうのも、要はそういう事なんですよね。
 最終的に、私が今後も遊んで行けそうなのは『艦これ』だけのようです。