古代研究4
- 作者: 折口信夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/03/01
- メディア: 新書
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夏からずっと断続的に呼んでいた折口信夫も、とりあえず中公クラシックスの分はこれがラスト。さすがに骨がありましたが、どうにか最後まで通読できました。
中盤は万葉集についての論説が中心で、思う事は「あぁ、やっぱり万葉集も読まないとダメですよね……」という反省ばかりでした(笑)。来年の目標はその辺りにしようかなぁ。
しかし、折口の短歌評は、(当然その評価軸は主観的なものなんだけれど)不思議と独りよがりっぽさや、価値観を読者に押し付けるような感じが無い。
現代では、作品に関する感想は人それぞれっていう形で、互いの感想同士を比較したりっていう事はあまりしなくなりましたが(まぁ、ネット上でやると大概荒れるしw)、私がとうとう見失ったものを、見せられたような気分でした。作品を鑑賞するという主観的な行為を積み上げるのが「国文学」とか「英文学」とかの「文学」なんだろうけれども。そういう「学」を、私はとうとう掴まえられないまま学生生活を終えてしまったからなぁ。
先日たまたま、ツイッターで福嶋亮大さんが「折口信夫は様式に対する感度がすごい」と書いていましたが、なるほど確かに、折口は一貫して様式の系譜を述べているのだなと。作品の鑑賞を述べながらただの印象論に堕さないのも、様式を見据えているからであるようにも思えました。
その他、平安時代の女房文学も、その前の時代からの継承があって生まれたと説いて行ったり、全体的に視野が広い。彼の説に完全に賛成するかどうかはともかく、そういうところは素直に敬服しました。
さてと。次は、まだ読んでない柳田國男でも読みますかね。角川ソフィアに最近収録されたやつ。
まぁでも、その前に息抜きの寄り道を挟みますが……。