ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1


ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (1)

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (1)


 いつの間にか私の周りにもじわじわと影響力を増してきていた忍殺語。気になっていくつかネット検索先を見に行き、ツイッターで公開されていた本文の最初のエピソードを読み、そこでついに書籍版の購入が脳内ゴーサインが出てしまったという次第。
 と言うわけで、スチームパンクな「欧米人の間違った日本イメージ」世界の中で繰り広げられるニンジャ活劇小説、でありました。


 とりあえずストレートに感想を述べれば、めちゃくちゃ面白かったです。
 ストーリーラインは王道、特に奇をてらったプロットは立てられておらず、だからこそ奇抜な誤解日本イメージや独特の言語センスを思う存分楽しみながら、すらすら読み進められる。ツイッターに連載されていただけに、文章の区切りが短くハイテンポで、わんこそばのようにスルスル読めます。ツイッターでジャンプマンガにたとえてる人がいましたが、次々と手を変え品を変え登場するニンジャと、それを相手にする主人公ニンジャスレイヤーとのバトルのテンポの良さ、面白さは正にそんな感じ。
 いや、こうまで頭カラッポにして楽しめる小説を読んだのは久しぶりで、それだけに心底楽しんだというところでした。
 また、メインのプロットは、ほとんどベタと言っても良いほどに王道なのですが、それを描く各話ごとに視点人物が違ったり、青春小説調からノワールから社会派寄りまで各パートごとのカラーが毎回違うので飽きないという工夫があったり、またあえて時系列をバラして順不同にエピソードを並べたりといった編集は非常に面白かったです。これくらいエピソードの前後関係をバラバラにしても、案外読み手は気にせずついて来れるものだなと。こうしたストーリーのプレゼンテーションについては完全に成功している作品だと思います。時系列に話が並んでいたら、恐らくここまで話題にならなかったんじゃないですかね。



 ……実はこの後、長々とネオサイタマと現代日本を比較した的な記事を書いたのですが、結局この作品の思い切った良さに逆行するような野暮な文章になったのでバッサリカットしました。うん、とりあえず面白い、で良いんじゃないかな。


 そんな感じです。