ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上2


ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (2)

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (2)


 気が向いた時に読み進めているニンジャスレイヤー、小説2冊目。
 ようやく世界観や突飛な日本描写に慣れ始めてきたとはいえ、それでも要所要所に現れるパンチの利いた道具立てやセリフで失笑すること数知れず。よくまぁネタが尽きないもので。というかこの原作者のアメリカ人、日本のこと詳しすぎるだろう……それも日本のダメなところばっかり。なんで女体盛りとか知ってるんだよ(笑)。


 アムネジア=サンが所属するレジスタンス組織イッキ・ウチコワシとかも、「あ、これアカンやつや」と読みながら思わされたのでした。それとも、“ああいうの”はなまじ若い日本人よりも、海外の人の方がよく覚えてて知ってるという事なのかな。


 現代日本を舞台に活劇ものの話を考えようと思って、ハテ悪役をどんな奴にしようかと考えた時に、なんか上手く「悪」の位置に収まってくれる人物像が浮かんでこなくて……それで日本人の手になるアクションヒーロー、それも成人したヒーローがなかなか出てこなくなってしまったというのが、今のこの国のエンタメ界隈の状況であるように思うわけです。アメリカには、マーベル作品の主人公のように、成人して、社会人やりながら戦ってるヒーローがたくさんいるのだけど。日本だと、なんか大人がヒーローやってる姿というのが思い浮かべられなくて、結局ティーンズの学生が主人公の作品ばかりがコミックやライトノベルで生み出され続けてたわけでした。悪役についても、とりあえずテロリストにしてみたりとかして。
 そんな中、アメコミメソッドで、悪辣な巨大寡占企業のトップを活劇バトルの悪役として出しちゃう、というのはありそうで、案外ないような気がしたりするのでした。元々、アメコミ的な活劇作品は日本のエンタメになかなか出せない、あるいは出てこない要素が多くて、それが上手くはまっている感じがします。



 まぁしかし、それよりも何よりも、この巻で印象に残るのは「スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ」のシルバーカラス=サンなわけですよ。ちくしょうカッコイイ。
 前述のように、なんだかんだで設定の荒唐無稽さだけではいずれ飽きてくるわけなんですけれども、そこからさらに語り口のバリエーションやキャラの魅力で、普通に面白い展開で引き込んでくれるから、これだけまとめて読んでもまだまだ行けるという。エンタメとしての地力もある、なにげに凄い作品なのでした。
 というわけで、引き続き読む予定。