インダス文明の謎
- 作者: 長田俊樹
- 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: 単行本
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なぜか唐突に古代文明に関する本が読みたくなったので。
インダス文明については、高校時代に教科書で読んだ程度の知識しかなかったのですが、今やその発掘も進み、2000以上の遺跡が見つかっているとか。しかし日本ではあまり知られていないとのこと。ミーハーのにわか読者ではありますが、新発見とか言われるとワクワクするやん?
初めて知ったんですが、インダス文明遺跡に特徴的な出土品の一つであるインダス印章には、一角獣をデザインしたものがかなりたくさん出るのだそうです。割合としては圧倒的多数。どうもインド亜大陸の西のこの辺りで、一角獣は特別な意味を持っていたらしいと。もうこれだけで、荒俣宏の幻獣本に胸ときめかせる学生時代を過ごした私などは血圧が上がってくるわけで(笑)。
また、インダス文明は大河文明ではなかったんじゃないか、という本書の主張も、これ一冊で鵜呑みにする気にはならないとはいえ、かなり面白い内容でした。大河の恩恵による農耕、富の蓄積による強大な王権というテンプレートだけが文明のパターンじゃなかったかも知れない、というのは色々と想像をかきたてられて、良い。
トップダウン式の強大な王権の方が、ピラミッドみたいな巨大な遺構とか、碑文みたいな情報の集積が起こりやすくて遺跡として目立つだろうけれど、遊牧とか商業を基幹にした、別な形の文明もあったかも、なんて言われると夢が広がるわけであります(笑)。
インダス文明遺跡が分布する地域は、政治的に難しく必ずしも順調な発掘ができるわけではないようで、その辺は平和な中で日々の発掘成果に胸躍らせられる日本は恵まれてるなと思ったり。
とはいえ、なかなかに面白かったので、しばらく予定を変更して古代文明関係の本などをちまちま読んでみたりしましょうかね。
まったく、気が向いた時に気が向いた方へ読書を進められる、アマチュア身分の幸福さよ……。