シュリーマン 黄金発掘の夢


シュリーマン・黄金発掘の夢 (「知の再発見」双書)

シュリーマン・黄金発掘の夢 (「知の再発見」双書)


 買ったまま読まずに放っておいたのを、ついでに積ん読崩し。トロイアの発掘で著名なシュリーマンの評伝
 シュリーマン本人のバイオグラフィーよりは、彼が何を掘り出したのかが当初の関心だったのですが、読んでみると人物への興味もかなり高まってくるという、ある意味幸福な読書でした。
 シュリーマンって日本に来たことあったのな。それも明治維新より前に。彼の記念すべき最初の著作は、中国と日本を旅行した際の見聞録だったそうな。


 元からの学者ではなく、商人、企業家として大成功した人物が後に情熱に駆られて考古学発掘をしたという事で、問題もあったけど、画期的な事もたくさんあったのだな、と。自伝に書かれてる事も含めて虚偽が多いなどの問題がある一方で、考古学を純粋な学問成果としてだけでなく、一般の人を動員する観光資源として活かす視点なんかは、さすが実業家と感心したり。
 なんというか、功罪の両面ともに大きいというのが、逆に新しい道を切り開いた人物らしさでもあるのかな、などと考えながら読んでいたのでした。


 まぁでも、考古学的な成果についての情報はちょっと食い足りなかったので、もう少し本屋で漁ってみる予定です。