『Gのレコンギスタ』先行上映見て来た


 見てきました。これは行かねばなりますまい。
 で、いろいろとネタバレ感想をしても良いのですが、しかし公開されたのがまだ3話までであり、内容はいつもの富野監督作品でおなじみの、説明無しに作品世界の用語がポンポン飛び交うという作劇にて。まだ背後設定など色々と見えていませんし、これから見る人への配慮も兼ねて今回はネタバレ無し感想であります。


 とにかくですね、結論から言うと、最高でした。
 特に何よりも、キャラの動き、メカの動き、とにかく映像として圧倒的に素晴らしい。
 作中に、ガンダム以外にいくつかモビルスーツが出てきますが、最初に主人公が乗るレクテンは作業用機械で、後から出てくる翼を持ったカットシーは軍用MSです。で、見ててのめりこんでしまうのは、作業用機械は作業用機械らしく、軍用機械は軍用機械らしく劇中で動いているのですよ。両者の動作、動きの重量感が、明らかに違う。つまり、設定上そうであるっていうだけじゃなくて、映像として、動きとしてその設定がちゃんと語られてるのです。
 また、熟練兵が乗るMSと、まだ不慣れな兵が乗るMSの動き方、身のこなしも明らかに違う。パイロットの「慣れ」の有無が動きになって、見ている私に伝わってくる。もうとんでもないです。これは机上で、頭だけで描いてたら絶対できない。メカや設定を単なる記号だと思ってたら、絶対にこういう映像作りはできないわけです。
 とにかく映像の、動きの説得力が段違いです。


 劇中、手軽な移動手段として、二足歩行の、ダチョウみたいな機械が出てくるんですけど。そこにヒロインたちが乗りながら、ハロビー(ハロの亜種みたいなの)が振動で転げ落ちないように、足を片方ずつハロビーの上に乗っけて固定しながら進んでるシーンがあるんです。明らかにそのメカの正式な使い方じゃない、ラフで生活感ただよう行動があって、そのおかげで劇中に出てくるヘンテコなメカが実在感を伴って、自然な生活の一部として受け入れられるようになってる。


 セリフではなく、映像そのものが設定を語っている。やはりアニメにおいて、これに勝る快楽って、無いんですよ。


 とにかく、そういう純粋な映像としての快感に満ちている作品でした。設定の考察とか作品批評とか、そういう小難しい事は後回しで良いので、とにかく映像を味わうべき。


 また、物語はいわゆる「白富野」風の、陽気で明るい空気感が支配的な内容になっています。が、一方で宇宙世紀とつながりがある世界観である事も明示されてて、その流れでメカ描写もいわゆる宇宙世紀ガンダムに多少近い(『∀ガンダム』や『キングゲイナー』に比べれば)。そういう意味で、ミリタリー重視のリアルロボットファンでもそれなりに楽しめるくらいに描き込みがされているので、結果として富野作品としてわりと入りやすい空気になっているようにも思えます。


 そういえば、ガンダム作品としては異例なくらい、様々な動物が描き込まれていたのも印象に残りました。部隊がジャングルだというのもあるのでしょうが、それにしてもかつてないくらい、鳥も獣も爬虫類も、いろいろと動物が描き込まれているガンダムでした。描き方が少しコミカルなのも、案外気にならない。
 なんか、ガンダムってやっぱりリアルロボットものとかいう見方をされて、シリアスで現実っぽい描き方を指向されていたんだけど、富野監督はあえてコミカルでマンガチックな表現を採用しているんですよね。そしてそれが無理になってない。むしろ、ともすれば「新作ガンダム」がどんどん難しく袋小路に追い込まれていそうにも感じられる中で、かえって新しい可能性を開くのに成功してるようにも見えます。
 大らかなんですよね、なんか。これはやっぱり、ガンダム生みの親だからこそできる大らかさなんだろうなぁ、と。


 まぁ、とにかく続きが純粋に楽しみな内容でした。視聴中は実に幸福な時間だったと思います。



 というわけで、先行上映の期間はあとわずか。こんな記事を読んでいるのにまだ未見の方、とりあえず事情の許す限り見ておくべきですよマジで。
 そんな感じ。