ギリシア神話


ギリシア神話 (岩波文庫)

ギリシア神話 (岩波文庫)


 そういえば、読んだのに感想書くのを忘れていたので、軽く。
 古代ギリシアからは少し後の時代になりますが、純粋に古代ギリシア時代の文献のみを参照し、ローマ時代の影響をあまり受けていない形でまとめられた、ギリシア神話の全体像の把握にもってこいの一冊、という触れ込み。


 記述自体は、ただ系譜やエピソードを淡々と羅列しているという感じで、多分ここから入ったらほとんど何も頭に残らないと思います。神々や人物の心情や行動や性格を印象付けるような、ドラマティックな書き方にはなっていません。
 私はホメロス→ヘシオドス→オウィディウスの順で読んできてから本書に入ったので、これは大正解だったなと思う次第。ホメロスにしてもオウィディウスにしても、叙事詩として聞き手を楽しませるべく生き生きと語られた内容で、個々の神々のキャラクターも立ちまくってましたから。そこで自分の中のイメージを鮮明にしてから、本書で神話の全体図の中での個々の神々の立ち位置を見ていくという順番は合理的だったと思えます。これは、あまり深く考えずに読んできた事を思うと、かなりラッキー。
 逆に、学生時代くらいにブルフィンチの『ギリシアローマ神話』を読んだ時には、上記のような下地ができていなかったので全く頭に入らなかったのでした。本当、今年の7月頃からホメロス読み始めるまで、ゼウスとアテナが親子である事すら忘れてたからなぁ。


 もっとも、本書は系譜をたどりながらの記述が中心なので、逆に時系列順にどういう出来事が神話上で起こったのかは分かりにくくなっている気がします。まぁでも、それはぜいたくってもんかなぁ。



 なんだかんだで、古代の神話ということで、度を越して悪い事をしたり悪心を起こした人物は必ず報いを受けるのがギリシア神話においてもセオリーなのだと思うのですが、例外的に、けっこうあくどい事しているにも関わらず、メデイアと魔女キルケだけはそういうお咎めを受けた形跡が見当たらず。むしろ毒薬とかが出てくる他の神々や人物のエピソードに度々名前が出てきたりもして、この二人の暗躍ぶりはなかなか示唆的で楽しかったです(笑)。
 ともあれ、苦労しましたが、7月から3か月ほどかけて、ギリシア神話のアウトラインくらいは掴めたかな? という手ごたえを感じられたので、上々でありましょう。もちろん抜けはまだ色々あると思いますけれど、つい半年前まではこのような自分の前進自体想像もしていなかったわけで。非常に良い感じです。マジで私、自分がオウィディウス『変身物語』を読む日が来るとは、あんまり思ってなかった。
 これで、私が憧れている宗像教授への道に一歩近づいたハズ(笑)。
 このやる気が続いているうちに、どんどん行きますよ。