アラビアのロレンス



 連休が取れたので、長めのやつをチョイス。名前くらいは聞いたことがある、というのをとりあえず潰していきます。というわけで、この作品。


 基本的に家で借りて来たDVDを見ている場合、一定間隔で集中力が切れて、ちょっとツイッターのTLを見に行ったりするのが私でありまして、大体30分に一回は一時停止ボタンを押していたりします。それが、この作品を見るにあたっては、ほぼ一時停止をせずにのめり込んで見てしまったのでした。映画館ではなく自宅で映画見てて、こんなに没入したの久しぶりじゃないかしら。とにかく、それくらい面白かったという。


 映像の壮大さと美麗さ、人物の魅力、脚本やセリフの妙、音楽の良さと、とにかく全方位がハイレベルで。劇中の年月に没入するあまり、見終えた自分が十歳くらい年を喰ったのではないかと思えるくらいでした(笑)。大河ドラマっぽい物語に浸った時にこういう気分になる事はありますが、それにしても久しぶりな感覚。


 まず冒頭で、主人公のロレンスにわりと好感持ったというのがあります。変わり者なんだけど筋が通ってて、文学に詳しいという変わった人物造形。こういう軍人のイメージって今まであまり見た事がなかったので。
 出向いた先の文化習俗に理解があるという事の強さは、説得力のある描き方だったと思います。それと、ロレンスの知的なところとが表裏一体の描き方になっていて、序盤の段階でいかにこの人物が一目置かれるようになっていったかが、すんなりと入ってきました。


 そういう人物造形のところと、戦況を覆すために普通なら考えられない強行軍をおこなうという軍略の描写、イギリスとアラブという政治的な部分の描写、うってかわって砂漠の過酷さと景色の美しさを様々な角度から見せる自然描写などなど、見どころをあげていったらキリがない。


 この手の歴史ものの場合、「どこまで説明して、どこを省くか」がどうしても重要になってきます。説明過多だとテンポが悪くてくどいし、説明が足りないと状況が呑み込めないし。その点、この作品は史実としての背後設定や状況を視聴者に知らせる、情報の散らし方も見事だし。
 なんかもう、どこをとってもハイレベルに良く出来ていて、不満の出ようもないような。なるほどこりゃ名画だな、と実感した次第。


 視聴している私は、アラブ周辺の歴史とか、イスラムの文化とかには全然疎いわけですけど、ちょっと関心が出てきました。まぁこのご時世、なかなか難しいですけど。


 うーん、以前もありましたけど、あまりによくできた作品だと逆に感想の述べようがないという、困ったものです(笑)。
 最終的にロレンスが挫折していくのを見つつ、まぁやっぱ政治って難しいよな、とおぼろげに思ったりもしましたが、何かこうして記事として述べるほどまとまった感想というほどでもなく。
 うむ、壮大すぎると感想がうまく言語化できないというのは今後の課題ですw


 ともあれ、NHKの大河ドラマが好きな人とかなら絶対ハマれる作品だと思います。未見の方は是非。