泥棒成金


泥棒成金 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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 ヒッチコックの有名どころは大体見たような気がしていたが、ツタヤの棚を眺めてたらまだあった。ので見た。


「ザ・キャット」とかいう名前の元怪盗が、自分の偽物が現れたのでそれを探るとかいう、80年代アニメ感がぷんぷん漂ってくるこの作品が、1950年代公開という辺りに何かいろいろ打ちのめされるわけですが(笑)。いやー、やっぱ日本エンタメの源泉としてのアメリカ、すげぇな……。


 正直、カラーになった辺りからのヒッチコックは、私が子供時代から馴染んでいたハリウッド映画の文法がかなり感じられるので、引っかかり無く普通にスラスラ見て楽しめてしまい、逆にこうして長文感想を述べるような何かが出てこないという部分はあります(笑)。もちろん、そういう文法を多く創出したのが、ヒッチコックだったという事でもあるんでしょうけども。


 気になったのは、この映画でもかなりな尺を使って描かれている、車で移動するシーンで。単に乗降する場面で「移動しましたよ」というシナリオ上の説明をするという以上に、自動車が走っているシーンを印象的に描いていまして。そういえば、ここまで見て来たヒッチコック映画にも、大なり小なり自動車というものを強調して描いてる場面があったような気もして、なんかその辺からヒッチコック論みたいなものを立ち上げられそうな要素なようにも思うのですが、映画見始めた日の浅い私にはちょっと無理そうです(笑)。


 あと、結局「偽キャットは誰なのか」っていう謎が提示されている事になるんですけど、びっくりする事にその予想、というか推理の端緒すら掴めないうちにラストに至ってしまって、なんか自分に呆れてしまいました。紛いなりにも、一応大学時代にはミス研的な所に所属していたのに……(笑)。
 まぁでも、謎解きミステリ作品を本当に楽しめるのは、解答に気づいてしまう人よりも、気付かずに結末を見て心から驚ける人なんですけどね。そういう意味では正しいのかも知れない(笑)。


そんな感じでした。