類猿人ターザン

類猿人ターザン [DVD]

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 アーアアー、って真似は子供の頃よくしておりましたが、作品そのものを見るのはたしか初めて。というわけで、ターザンであります。


 とにもかくにも、衝撃の映像体験だった、というのが正直な感想でありました。人間とライオンがガチに取っ組み合いしてる場面が出て来て、しかもそのライオンがどう見ても着ぐるみとは思えない、とか。象が鼻でターザンの腕を揺さぶってるとか。とにかく実際の動物使って撮影したんじゃねぇかとしか思えない場面が頻出しまして、どれも一歩間違えたら大事故になりかねないようにしか見えない。もちろん1940年代の映画にCGなんぞあるわけがありませんから……。これ本当、参加した役者さんの何人かは実際死にかけたんじゃないかと(笑)。
 特に衝撃だったのは、ターザンと仲が良い象が、力尽きたターザンを危険な場所から運ぼうとするんですが、よりによって口でターザンの頭部を咥えて、ブラブラとぶらさげながら移動しているという斬新すぎるカット。見た感じ、どう見てもマジに人間使って撮ったように見えるんですが……。
 いやぁ本当、メイキングをここまで見たいと思った映画は初めてですね(笑)。撮影裏話が超知りたい。しかしそんなのに限って、ウィキペディアに作品個別のページが無かったりするのだ。


 ともかく、そんな感じで、現代ではかえって見られないような類のスペクタクル映像に衝撃を受けたというのが感想の八割くらいなわけですが……(笑)。それ以外で言えば、まぁターザン役の人の演技すごかったなとか、そんな。なるほど人間って言葉が通じなくても十二分にイチャイチャできるんだなーとか、感心しながら見ておりましたw


 『キングコング』にも共通してある構図が気になった、というのはあります。アメリカのような先進国の文明があって、キングコング含む野獣や猛獣が支配する自然の領域があって、その中間に現地住民たちの土俗的な世界があって。面白いのは、『キングコング』でも『ターザン』でも、直接対立するのは自然と土俗の間であって、逆に自然と先進国文明の間ではある程度の意思疎通がはかられたりするんですよね。キングコングアメリカから来たヒロインを気に入ってけっこう紳士的に守ろうとしたりするし、ターザンも同様にアメリカ女性と意思を通わせる。一方、現地の土俗的な文化を持つ人たちは、自然とも先進国とも対立関係にあって、むしろ自然側のタガが外れて破局が訪れた時には真っ先に被害をこうむる位置にいるのでした。
 こういうところもポスコロ批評とかから色々ツッコミがあり得るんでしょうが、差し当たって私はパスしつつ。ただある程度こういう構図が共通して取り出せるのは面白いかな、程度です。


 そんな感じで。なんだかんだと刺激的な視聴でありましたとさ。