雨月物語
- 出版社/メーカー: コスモコンテンツ
- 発売日: 2011/02/26
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古典映画見るようにしてから、やっぱり映画に関する記事とか情報とかにも少し気が向くようになって、それで耳に入って来たのがこの作品名でした。邦画については特に私の中で事前の情報がほとんどなかったので、とりあえず評判の良いものを見て行こうかと。
そんなわけで見てみたわけです。
つっても、私はそもそも上田秋成の『雨月物語』を読んでないわけなので、原作と照らしてどうこうっていう比較が出来ないわけでした。その辺はなんとも言えず弱いのだけれど、まぁそれを言うなら、この映画を原作知って見た人の割合は全体の何割かっていえばそんなに高くもなかろうとも思うわけで。とりあえず見たまんまの感想でも良いのかなと。
いずれ秋成も読むけどさ……。
とりあえずなんかこう、黒澤明映画から引き続いてこういう作品見ると、日本の時代物映画の、とりあえず泥臭い農村から話が始まる感じ、これ何なんだろうって思いますな。
日本で作られた映画だからなのかな、と考えたりもしましたが、結局これ、戦後すぐの日本の状況っていう原風景なのかなーと思ったのでした。考えてみたら『七人の侍』も『隠し砦の三悪人』も、この映画も、戦国時代のさなかで、権力による行政サービスが受けられない無秩序状態に置かれた農民たちが初期の視点人物になるんだけど、私が物心ついてから見た時代ものってそういうの少なかった気がする。これはやっぱり、モノクロ映画がつくられていた時代に濃く共有されてた原風景なのかなーと思ったのでした。
あとやはり、日本のモノクロ映画見てて思うのは、光と影の使い方の上手さだったりします。しかしそれも、なんでかっていうと、日本の時代物の場合照明がロウソクとかかがり火とかだからな気もする。結果として、すごく緩急がつくんですよね。海外のモノクロ映画とか、あと邦画でも『悪い奴ほどよく眠る』見た時とかは、そこまで鮮やかには感じなかったかもしれない。
あとは、あの朽木屋敷の姫君よなぁ。あのメイク、パッと見では恐怖しか感じないのだけれど(実際『蜘蛛巣城』では恐怖に震えたw)、実際の演技で本当に妖艶で美しい姫君に見えてくるんだから、役者さんってやっぱすげぇなと思ったことでした。
そんな感じで、映像的にいろいろと楽しんで見た部分はあるのですが、しかしこう、ぐっとのめり込んで見たとか、引き込まれて見たかというと、ちょっと違う。
なんだろうなぁ、洋画に比べて、邦画に関してはなんかどこか、作品を楽しむための重要なキーというか、視点というかが欠けているような感じがずっとあるのですよ。そこで何かパチッとはまれば、今よりもさらに邦画を楽しめるような気はするんだけれども、それがいまいち見つからない。洋画はすんなり入れるんだけどね……って、なんだろうこの倒錯(笑)。
結局、雨月物語にある二つの話をつないだ事になるようですが、結果として源十郎が二連続で霊的なものに遭遇したっていう筋になるわけですが。それが脚本的に成功しているのか、どうなのか、いまいち自分の中で判断がつかない。藤兵衛と二人のメイン登場人物がいるんだから片方ずつにした方が良かったんじゃないの? とかも思うけど、それが上策なのかどうか判断がつかない。
多分だから、私の中で消化不良になってるものがあるんです。
こういう消化不良な何かは、慌てて割り切ろうとしない方が多分良い。いずれこれからも映画を見ていくうちに、ふと見つかることもあるでしょう。
そんなわけで、今回はこれだけの感想を残して切り上げたいと思います。