新約聖書外典


新約聖書外典 (講談社文芸文庫)

新約聖書外典 (講談社文芸文庫)


 先日の旧約聖書に続き、新約聖書外典も読んでみました。
 まぁ、「旧約聖書外典」というのは、「ギリシャ語に翻訳された聖書には入っていて、現在のユダヤ教における旧約聖書正典には入っていないもの」という事で明確に指すものが決まっているわけですが、新約聖書外典というのは現在の新約聖書に入っていない文書がいろいろ含まれるため膨大な数あるらしく、この講談社文芸文庫に入っているのはそのうちの一部という事のようです。それに、中身も若干抄訳。
 とりあえず、気になったのは性嫌悪モチーフの多さだったりしました。『新約聖書』の福音書あたりに比べて、性交渉に対する忌避を示唆する部分が圧倒的に多い。また、聖人の話によって熱心な信仰を得た若い女性が夫との性交渉を拒否、夫が起こって聖人を讒訴、処刑しようとするという展開がほとんどパターン化しているように見えます。
 どうもその辺含め、ちょっと首をひねりながら読んでいたような感じ。
 その他、注釈にさかんに指摘されているグノーシスの思想という辺りはあまり詳しくないため、その辺もちょっと読むときにネックになっていたかも。
 まぁそんなわけですんなり飲み込めた感じではなかったですが、魔術師シモンの逸話とか、いくつか面白い話も読めたのでとりあえず良しとします。一度目を通してさえおけば、後で用事があってもすぐ戻れますし。
 とりあえずそんな感じの読書でした。