西洋中世奇譚集成 東方の驚異



 正月あたりにぼちぼち読んでいた本。中世ヨーロッパの、真偽の怪しい胡乱でハチャメチャな書簡とかそういうアレ。まぁたまにそういうのを読みたくなるわけです。


 アレクサンドロス大王アリストテレスに宛てた体の手紙とか、東方に存在すると考えられた伝説的な王プレスター・ジョンの書簡とか。中身については、奇想天外な怪物だのとんでもない派手な建造物だのという話。その辺は私の趣味として適宜眺めていたわけですけれども。


 呆れたというか首をひねったというか、感心したのは、こんな与太話の中でさえ、プラトン『国家』やトマス・モア『ユートピア』的な「倫理的に正しい理想郷」が登場して、そこには酒飲みはいません、嘘つきも一人もいません、云々とやることで、ヨーロッパ人らしいとでも言うべきか、なんというか……みたいな感想。なんなんですかねぇ。


 まぁ本書の内容自体は、私みたいな与太話好きが味読すればいいという感じの内容でありました。これ一冊でただちにどうこう、って感じではない。けど与太話も数を揃えて比較検討すれば、それなりに面白いものが出て来たりするかもなのだ。
 というわけで、次。