美味礼讃


美味礼讃 (上) (岩波文庫 赤 524-1)

美味礼讃 (上) (岩波文庫 赤 524-1)

美味礼讃 下 (岩波文庫 赤 524-2)

美味礼讃 下 (岩波文庫 赤 524-2)


 この六月で、休日などに料理をするようになってちょうど1年となりました。
 で、相変わらず時間を見つけて、料理とかその辺に関する本もちまちま読んでみたりしていたわけです。


 本書はフランスのグルマンティーズ(グルメな人)が書いた食エッセイ的なもの。
 なんというか、珍しい読書体験でした。こう言ってはなんですが、「マニアが自分の好きな事について得意げに語る時独特の鼻につく感じ」が実に十全に文章から立ち上がって来たからです(笑)。昨今はこんな露骨に鼻につく読み味の本に、逆になかなか出会えませんからね。
 とはいえもちろんそれだけではなく、こちらもやはり気むずかしい論考や緻密な小説作品といった代物ではないからこそ、同時代の空気を色々と伝えてくれる本なのだろうなと思ったり。
 この時代の人たちもダイエットに挑んで結局途中で心折れたりしてたんだな、と思うと親近感が増します(笑)。
 また、ちょうど本書の著者ブリア・サヴァランが生きていた時代に、レストランという商業形態が登場したらしく、その事が印象的に綴られています。もちろん、学術的な厳密さを考えるならもっと色々調べるべきなのでしょうが、ともあれ一つの重要な証言ではあるのでしょう、面白く読みました。意外に最近、なのかな……?


 もうちょっと、個別の食材に関して細かな蘊蓄があるかなと思ったんですけど、まあこれはこれで。
 さて、どんどん先に進みます。