日本巫女史


日本巫女史

日本巫女史


 読み終わるのに2か月以上もかかってしまった。
 巫女といっても、秋葉系の萌えとかとは無縁なゴツい大部の書籍です。取り扱われる話題も多岐にわたる労作。


 書かれた時代を考えれば、読みやすい部類の本だとも言えるのですが、しかし書かれた時代ゆえの制約もあるらしく、個別のテーマへの踏み込みや、実証性などの面でちょっと物足りなく感じる部分もありました。
 もちろん、現在では採集不可能な民俗学的調査の結果なども掲載されているので、有用な本ではあるのだと思います。まぁアマチュアゆえの気楽さで、個人的好みから好き嫌いが言えるので、そこが引っかかると書いてしまっているという程度の事です。「後考を待つ」みたいなフレーズを多用する書き方は好きじゃない、とか。


 むしろ、頻繁に登場する著者の研究仲間の名前に心が躍る、という別な楽しみ方の部分が大きかったかもしれない。柳田國男折口信夫南方熊楠、N・ネフスキーなどとディスカッションや情報交換を互いにしつつ研究をやっていたなんて、それだけで多分幸せな事だよなぁ、などと思ったり(笑)。
 N・ネフスキーって、この本の著者の仲介で柳田國男に初めて会ってたんですね。巻末の解説で知ってびっくりしました。そういう、文壇史的な部分の方でむしろ楽しんだかもしれない(笑)。


 まぁ、ちょうど読書時間を削っている期間だったので読むのに時間がかかってしまいましたが、なんだかんだで値段分は楽しめたかな、と思います。
 さすがに当分の間は、このサイズの本を通勤カバンに入れて歩くのはやめようとも思いましたが(笑)。