木坂涼詩集


木坂涼詩集 (現代詩文庫)

木坂涼詩集 (現代詩文庫)


 吉本隆明の「詩とはなにか」を読んで、分からないなりに詩を読みたくなったので、店頭で適当に選んで決めた詩集。
 基本的に、詩集って店頭で適当にパラパラめくって、インスピレーションとアドリブでぱっと選ぶ以外の選び方を知らない。



 割と日常に即した事を中心にした内容でした。
 巻末で川崎洋が解説で触れていますが、確かに読売新聞朝刊に載っている子供の詩と、感覚的に近い部分があるというのは分かる気がしたり。


 個人的には、詩には、こう、散文では届かないような高みへ連れて行ってほしいという期待がどうしても私の中にありまして。そういう意味で、この詩集には少し食い足りない感がありました。
 もちろん、表現としてすごく面白い、興味深いところはあったのです。けれど、詩としてのフォーマットを、散文的に使うような感じが多いと、やっぱりちょっともどかしい。
 私の事実上の詩の初体験が石原吉郎だったからかも知れませんが。「悲しみは固い物質だ」からいきなり始まったり、そういう、もっとこう、ゴリッと来るようなものが詩だと思ってるのかも知れません(何だそりゃ


 とは言いつつ、巻末の解説三つを読んで、そこで良さを解説されると確かに「あぁそうか」と思って、本文では感じなかった良さに気付いたりしているので、所詮私の読みが浅いのでしょうけどね。


 まぁ何だかんだ言いつつ、詩を読むのは良い刺激だなぁと思います。表現の幅が広がったりもするのだろうから、散文家、というか小説書きにもお勧めだったり。


 そんな感じ。