エヴァンゲリヲン新劇場版:序


 見てきました、エヴァの劇場版。
 とりあえず全体の感想述べる前に言わせて。


 気 持 ち 悪 い 。(ぇ


 いや、何がって、やっぱりエヴァとか使徒のデザインとか動きとか、やられるとイチイチ液体が出るところとか(笑)。
 作り手がそういう、視聴者の感覚を操作するのが上手いってことでもあるんだと思うんですけどね。使徒とかだけじゃなく、たとえば迎撃のためにニョキニョキ生えてくる砲台の動きとかにしても、無機的に整然とし過ぎててかえって気持ち悪いし。


 まぁいいや。
 とりあえず正直な話からしますと。
 私はTV版のエヴァを見たのは放送一年後くらいかな? それぐらいの時期に一回きりで。まぁ、当時熱烈にはまっていた弟に無理やり見せられたんですが(笑)。しかも、弟チョイスによりTV版の最終回を飛ばしていきなり『Air/まごころを君に』を続けて見せられました。
 リアルタイムで見ていたわけでもないし、知り合いと内容について特に話した記憶もありません。キリスト教的なギミックとか、心理学系の話題で盛り上がってた一部の動きも完全スルー。


 で。正直なところ、TV版エヴァについて思い返すと、どうしても嫌悪感が一番最初に立ってしまうのです。シナリオの嫌らしさ、描写のえげつなさ、その他。
 今回の劇場版もそうした部分はけっこう踏襲されていたと思うのですが、こちらの方はかつてのTV版の感想に比べ、はるかにスムーズに、胃の腑にストンと落ちた思いがしました。
 シナリオの嫌らしさは相変わらずだったんですけどね。もうエヴァに乗りたくねぇよと、心情的に当然のリアクションをすると「じゃあ綾波乗せるから」ってケガだらけの綾波登場で、そりゃまあ殿方としては乗らざるを得ない状況になり。で、乗って出てみれば何にもしない内に、地上に出ると同時にビーム直撃で失神とかね(笑)。ロボットアニメの主人公としては不遇すぎますよねw
 そういう、「うわ、ひっでぇなぁ」っていう部分もありつつ、でも今回の劇場版はキャラの心情の動きとかを丁寧に追ってたと思う。かつてTV版を見たときよりもずっと、シンジ君の心情に同調しながら、のめり込んで見られました。状況的な理不尽があって、何度もエヴァに乗りたくないと思いながら、周囲の人とのつながりの中でかろうじて「エヴァに乗る」っていう選択を取りつづける、そういう心の揺れ動きみたいなのが丁寧だった。
 そこがつながってたから、最後のヤシマ作戦の展開も面白く見られたんだと思います。あそこは作戦自体の大きさの描写も丁寧に描きこまれてて、すごく良かった。


 ミサトさんの行動とかもそうで、二番目に来た使徒(名前とか知らないw)の撃破には成功したものの、シンジ君は命令違反はしていたと。そういう状況で、ミサトさんの立場だったらああいう叱り方をせざるを得ないだろうなとか、そういう言動の理が自然に通ってたから、こちらも自然に見ることができた感じがします。


 あと、小道具の使い方がすごい上手いですよね。ウォークマンとか。ミサトさんに詰め寄られた拍子に地面に落ちてこぼれた飲み物とか。「知らない天井」もそうだし、情感の出し方がすごい上手い。戦闘パートよりも、日常とかのドラマパートの方が見所が多いくらいです。
 だからこそ、海の水の色が真っ赤だったりという、異様さも引き立ってたし。やっぱり病的ではあるんだけど(笑)。


 あと、TV版見た時に比べて、一般人が画面に出てくるようになった気がしました。まあ私の勘違いかも知れないんですが、一般の住民とか、ネルフの一般職員とか、以前に比べてけっこう印象に残った。そういうところも含めて、TV版を作った時よりも庵野監督の心境に余裕が出来てきたのかも知れませんね。


 ともあれ、最初から最後まで、楽しんで見る事ができました。
 少なくとも、TV版以来の私のエヴァへの心象が、大幅に上方修正された事は間違いないです。
 まぁ、問題はこっから先なので、最終的な評価は先送りにしますが。少なくとも次の「破」を見に行くことは確定で良いかな〜と、そんな気分。