白山信仰の源流


白山信仰の源流―泰澄の生涯と古代仏教

白山信仰の源流―泰澄の生涯と古代仏教


 いい加減、小説のネタにしておいて、全然調べてないってのマズイだろ、という事で、泥縄ながら菊理媛についてしらべるべく。
 菊理媛と同体とされる白山妙理権現について。白山信仰と、白山を開いた泰澄についての本です。


 基本的には、平安時代成立と思われる泰澄の伝記の内容を追いながら、関連する事象を追っていくもの。
 ……というと地味に聞こえるかも知れませんが、この泰澄の伝記というのが、道照から行基から玄ボウ(日方)から吉備真備から、およそ当時の仏教関係のビッグネームがオールスターで出てくるような内容なので、むしろ無闇に派手です(笑)。


 もちろん、泰澄の名前が同時代資料でほとんど確認できず、その実在すら立証が難しいとなると、かえってこのオールスターぶりは創作っぽい雰囲気を強めてしまいますが。
 幸いというか、生憎とというか、私は史実だけを追いたいよりは、むしろ伝奇伝説を集めたいタイプなので、ちゃんと注意書きさえしておけば問題ないという、便利な立場。



 また、この時代の仏教や政治事情についても、基本情報や意外な情報が多数集められて、非常に有意義でした。
 特に、日本中世の宗教事情を覆い尽くした神仏混淆の始まりが、ちょうどこの時代で、白山の縁起がその始まりの辺りを読み解くキーの一つになっている可能性も示唆されていたり、非常に興味深く。


 例のウィキに情報を流しこむ方式の勉強も、やってもやっても進んでいないような感覚があって焦りもあるのですが、こうしてまずは、どの本にも共通して出てくる基本情報をある程度カバーする事ができれば、その後は効率も上がるハズ、と信じてやっています(笑)。


 そんな感じで。非常に良い本でした。