機動戦士ガンダムAGEメカニック&ワールド



 買いましたよ。買いましたとも。
 AGEの設定資料集という事で、まぁこういうのが出るのはガンダム界隈の習い。特にAGEは、公式HPでの機体情報が1機体に1行とかいう代物なので(笑)、メカ考察をしたいならこの辺が必要になってきますね。


 その他世界観設定についてのインタビューなんかもあるんですけど、この本の作りってコンセプトがかなり特殊なように感じました。というのも、設定資料集なのに、断定をしないんですよ。「〜〜だったのかもしれない」「〜〜だったようだ」みたいな書き方が頻繁に見られるのです。
 AGEのスタッフは、宇宙世紀ガンダムのように世界観設定を視聴者側が作っていってくれることを期待していたらしい旨を小耳にはさんだ事がありますが、そういう意図なのかな、という気はしました。ただ、個人的には、だからといってこういうやり方はどうなのかなぁ、という疑問もなくはないですが。
 最初にしっかりした幹があるから、そこに枝葉を茂らせることもできるわけでね。たとえば公式設定が気に入らなかったなら、気に入らないなりの反発の仕方もあるんだけど、公式設定がぼかした曖昧な書き方してたら、反発すら起こらないわけですよ。読者参加を促すっていうのは、そう簡単な事ではないので。


 宇宙世紀ガンダムの設定本っていうのは、系統によって、また出版された時期によって書いてある事が全然バラバラだったりしまして、整合性のある設定を構築しようとしてる人(たとえばガンダムミレニアムさんの同人誌とか)になるともう、ほとんど本職の学者と遜色ないレベルのテキストクリティークやってたりしているわけなんですけれども(笑)。それも、個々の設定の書き手が本気で自分なりのガンダム世界を組み上げようと、矛盾を恐れず断言しながら書いていったから出来た深みなんであって。最初から読者・視聴者に遠慮していくやり方が、果たして有効なのかな、という気はします。



 とはいえ。そういう基本姿勢の部分を除けば、なかなか楽しめる内容に仕上がっていました。Gバウンサーがワンオフじゃなくて、複数生産されていたなんて見ると、やっぱりガンダム好きの血が騒いじゃったりするわけですよ(笑)。ああいうマシンのマイナーチェンジ機に、渋いエースパイロットが乗っていた的な外伝が大好きなのでねw
 作品人気が高まってきてくれないと厳しいかもしれないけど、AGE−MSVみたいなのも今後広がって行ってくれればいいなぁ、とこれ読んで思いました。そう思わせてもらえる程度には、ワクワクする設定資料集でしたよ。
 個人的に、プロトタイプクランシェがカッコよくて好きなので、ああいうのプッシュして欲しい。あと、ゴールデングルドリンパーフェクトみたいなバカ丸出しなのも嫌いじゃないのw


 うん。やっぱり見栄えのする楽しい枝葉を茂らせるためには、幹がしっかりしてないといけない。それが本当の意味でできるのは「公式」だけなのでね。重責だろうけど、もしまた機会があるなら、がんばってほしいです。