種の起原


種の起原〈上〉 (岩波文庫)

種の起原〈上〉 (岩波文庫)

種の起原〈下〉 (岩波文庫)

種の起原〈下〉 (岩波文庫)


 ちょっと自然科学方面に寄り道を。
 とは言っても、今年ゲーテの自然科学系の著作にも挑戦してたわけで、ダーウィンの進化論もゲーテの形態学の発想などと地続きのものですから、そういう意味ではスムーズに関心が動いた結果ともいえます。
 ま、いずれ読もうと思ってたタイトルの一つですし。


 ダーウィンの進化論については、以前軽い読み物でアウトラインを見た事はありました。が、改めて読んでみると、そのとんでもない視野の広さ、カバーしている領域の広さに感嘆した、という感じ。まぁ、考えてみれば当然ではあったんですが。生命誕生以来の、全世界の生物を対象にした壮大な仮説の話なわけですからね。
 事前に知っていた知識と比較して意外だった事と言えば、立論の発端と根拠の多くが飼育動物や家畜の品種改良の話だったこと。ダーウィンの論証の矛先が、生態学、古生物学、地学や発生学辺りまで縦横に展開されていること、でしょうか。やはりそれくらい広汎にカバーしてないと、この規模の仮説を論じられないのだろうな、というような感慨が。
 まぁ、急いで書かれた著作でもあるらしく、あちこちで「詳細な論拠を挙げたいけど紙面が足りない」とされているのが若干目につきはしました。むしろ存分にエビデンスとなる事実を散らした完全版が読みたいなと思ったくらい。


 目新しい発見があった読書、というよりは、半端だった知識を整理する読書、という感じでしたが。まぁ、それが現在やっている定番書読みの目的でもあるので。順当に目的に近づいたという感じです。
 まぁでも、それゆえにあまりのんびりもしていられないので。来年もガンガン進めていきたいところです。