高校で教わりたかった化学
- 作者: 渡辺正,北條博彦
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2008/02/01
- メディア: 単行本
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以前、『アリエナイ理科の教科書』を読んで、ようやく高校レベルの化学くらいまで手が届きそうな気がしたので、書店の店頭にて選んだのがこの本でした。
この手の、高校化学入門書はそれなりにいろんな出版社から出ているのですが、一目この本を選んだのは恐らく正解でした。読み比べたわけではないので予測ですが、多分この手の本の中ではかなり質の良い方なのではないかと思います。
私は別に、研究者になるわけでもないし試験を受けるわけでもない、ただ化学の視点で世の中のしくみがどうなってるかが知りたかっただけなので、そういう意味ではベストチョイスだったんじゃないかなと。非常に丁寧に、「なぜそうなのか」を説明してくれている本でした。非常に分かりやすかった。
私も高校化学で mol とかアボガドロ数とか習って辟易したものですが、なんだ、アボガドロ数って「 6.022×10^23 / mol 」って数字自体が重要なわけじゃなく、この数字が出て来たこと自体は単なる結果だったのか、と。それが分かっただけでもかなりスッキリしました。
ところどころ、高校の指導要領の範囲からはみ出た事も内容に入ってきますが、それも社会人で文系の私には知った事ではなく(笑)、とにかく分かるように説明さえしてくれればよいわけです。
人文系の人間にとっては、「人類史の早い段階で鉄は実用化されていたのに、アルミニウムの単離が19世紀まで遅れたのはなぜか」という事の説明が、シンプルで明晰で、なるほどと唸りました。他にも、色々と氷解した疑問があったり。
やっぱり化学も、語り口次第で面白いものですね。こういうのも、自分なりに咀嚼して活かしていきたいなと。
そんな感じ。