アルゴナウティカ


アルゴナウティカ (講談社文芸文庫)

アルゴナウティカ (講談社文芸文庫)


 今年から岩波文庫縛りを緩めているので、こんなのも手に取ってみました。ちょうど復刊されたということもあり、アルゴー船の冒険譚を描いた叙事詩
 元々、アポロドーロス読んだ時に、ご存知ヘラクレスに竪琴の名手オルフェウスに、アキレウスの父ペレウスにと、有名人が多く集い、さらに水の上を走れるほどの俊足な英雄とか、千里眼で地の底すら見ることが出来る英雄とか特殊能力持ちもたくさんいて、さながら漫画『ワンピース』か、あるいはアメコミ『アベンジャーズ』かというノリに感心したわけです。一度触れてみたかったわけでした。


 読んでみると、さすがに昨今のエンタメ小説ほど派手ではないとはいえ、各キャラクターが自分の能力や持ち味をいかして活躍してるし、エピソードもとんとん拍子に進んでいくのでテンポが良いんで、想像以上に「普通のエンタメ」として読めたのでびっくりしたのでした。これなら普通の読み物として、神話系詳しくない人にも勧められるかも。
 あと、何より、主人公のイアソンがちょっと気弱で頼りないという、この時代の叙事詩には珍しいキャラ付けされてるように読めるのが良いですね(笑)。金羊毛入手のための試練も、ドーピングでクリアしたり、あるいは船旅が行き詰って絶望して地面にうずくまりっぱなしだったり。なんか親近感わくぞ、という感じ(笑)。


 いくつか、資料としての面白い部分もありましたが、まぁ普通に面白い話、面白い小説を読んだような気分でした。
 こういうのもたまには良いですのぅ。