機動戦士クロスボーンガンダムゴースト 完結



 コミックの発売日をチェックする習慣がないので12巻発売を見逃してて遅れてしまった。ともあれ、ついにクロスボーンガンダムゴースト、完結であります。めでたい。


 結論だけ言えば、最後まで大満足でありました。
 フォントという、戦闘のプロではないし武闘派でもない主人公が最終決戦でプロの軍人と戦い抜くには、やはり初代ガンダムアムロにとってのニュータイプ能力のような、何かしらの力が必要で……実際、ニュータイプを想起させるような言葉も散らしてあるんだけど、そこに「テクノロジーとの協調」を匂わせた辺り、さらにそこでそういう能力を変に神格化せずに現時点での限界も描いて見せた辺りのバランス感覚と手並みが非常に私好みでした。そしてこのテーマは、実は∀ガンダムのテーマをも受け継いでいけるテーマなんですよね。
 このブログで再三感想として述べたように、スーパー能力で超強い主人公より、力は並だけどその場の機転で乗り切る系主人公が好きなので、フォントの活躍は最後まで本当に楽しかったです。


 そして、物語がエンジェルハイロゥ戦後に至った事で、長谷川先生は現在、宇宙世紀ガンダムの最先端を走っている事になるのですよ!w(Gセイバーを除けばw)
 さらに続編もあるという事なので期待しております。今、おそらく宇宙世紀を先に進められる位置にいるのは長谷川先生しかいないんですから。長い間、宇宙世紀ガンダムは年表の隙間を埋める事でやってきたけど、クロスボーンガンダムだけは、宇宙世紀を先へ進められるのだ! 私はそこが嬉しいんですよ。
 Vガンダム後の「宇宙戦国時代」の設定は、『Gのレコンギスタ』が見せた「すべてが統一されるのではなく、異なった文化や思考・思想を持った組織をむしろどんどん引き入れていく事で対立を相対化していく」可能性にもスイッチしやすい舞台だと思います。


 というわけで、今後も引き続きフォントの活躍が見られることに心うきうきしつつ。
 願わくは、敵役の人物造形にもっとクセがあると良いのかも知れません。キゾ中将のキャラクター的な魅力がもっと出せてたら、もっと面白くなってたんじゃないかなと思うので。
 ガンダムの敵役って、シロッコハマーンもシャアもすごい屈折してて、その屈折が魅力だったりするんですよね。その辺が入って来たら、もっとガンダムらしくなるかなという個人的希望もあったり。


 とはいえ、作品的な厚みを積み重ね続けた今のクロスボーンなら、続きもきっと良いものになるだろうと期待しております。
 そんな感じ。