中世イタリア民間説話集



 最近出た新刊。『イル・ノヴェッリーノ』の完訳ということで、たまたま目についたので買って読んでみた。いやいや、こういう本が翻訳されて日本語で読めるというのはありがたいものです。


 今年はじめに読んだ『皇帝の閑暇』に比較的近いですかね。古今の有名人や英雄の逸話から、名も無い一般民の艶笑話までを幅広く収めた物語集。総計100話。そんなに長い話は無いので、わりとサクサク読めました。
 基本的にこういうのは、本格的に取り組むなら同系統のいろんな説話集を読み込んで、時系列に並べて変遷を調べたりするのでしょうが、私はそういうレベルには全然達していないので、まぁとりあえず中世イタリアの空気を感じるくらいの読書でしたが。それでもいろいろと楽しく読めました。自分用お勉強メモに逐次書き写し。
 この前に読んだマロリー『アーサー王の死』の序文でも気になってたんですが、アーサー王伝説中のとあるエピソードの初出がこの本だそうで……つまり、アーサー王伝説ってイギリスの話なのに、大陸側での流布の方が早かったのかしら、というような辺りはけっこう気になったり。この辺はちゃんと調べないと言い切れないところですが、とりあえず頭の片隅にピックアップしてメモしておきました。
 差しあたって深入りせず、こういう注意点を拾い集めるための古典読みです。今するべきことは深入りではなく絨毯爆撃なのだ。


 他にも、アレクサンドロス大王の逸話は知られてるけど、それ以前の古代ギリシャとなるといろいろ怪しくなってたり、まぁその辺のニュアンスが面白かったです。ソクラテスがなぜかローマ人になってたり(笑)。そういうニュアンスを掴んだところで、とりあえずこの本からはいったん離脱することにします。
 さて、では次の本を。どんどん行かないといつまでたっても修業期間が終わらないからね……。